2014/07/18

アッヴィー(AbbVie)による企業買収(M&A)に英国Shire社が合意

アッヴィーとShire の双方の役員会はアッヴィーによるShire の推奨吸収合併条件に合意したと発表。買収総額は548 億ドル(5兆5000億円)にのぼる。6月20日に拒絶された総額270億ポンドの買収提案から320億ポンド(548億ドル)へと19%増加されて合意に至った。➔June 20記事

新生アッヴィーはTax Inversion(節税)のために法定住所を英国に移転する計画だ。2013年にアッヴィーが22%、Shireが16%だった法人税率は2016年には14%へと低下すると期待している。これを機に米国議会ではグローバル企業の米国脱出を阻止するための政策論議が活発化している。➔Financial Times 記事

PAR アッヴィーとShireが合併すると、医療用医薬品のグローバル売上ランキングは2013年に210億ドル(ほぼ2兆円)だったイーライ・リリーを抜いて9位となる。203億ドルで10位だったテバがトップ10から陥落する一方、188億ドルで11位だったアッヴィーが49億ドルで20位以下だったShireを統合して、9位と10位を抜き去る構図だ。Shireには売上高の25%をしめる12億ドルを売上げる最大製品のADHD治療薬Vyvanseがある。合併の利点は節税だけではなく、関節リウマチ治療薬ヒュミラへの依存度がアッヴィー単独時の57%から45%へと低下する点も大きい。被買収企業の売上高の11倍以上となった買収コストも正当化できそうだ。