2014/08/19

中外製薬の株価が1日で15%上昇、親会社ロシュによる100%子会社化の観測から

中外製薬がロシュグループの傘下に入った2002年の合併契約では合併後5年間(2007年9月30日まで)はロシュの持ち株比率を50.1%、2008年から2012年9月30日までは59.9%を上限とする保有制限が規定されていた。(最新のFT記事

最初の「Stand Still」期間5年の終了を経て、2008年2月にはロシュが自ら株式市場で中外製薬株を買い集め、持ち株比率を上限の59.9%まで引き上げていた(2008年5月Roche発表)。さらに5年を経た2012年以降はロシュによる100%子会社化(上場廃止)も可能となっている。

PAR 株価が急騰する前、先週末の時価総額は1兆9000億円を下回っていた。その少数株主持ち分40%は7400億円であり、Bloombergが報じた1兆円($10bn)の買収コストは34%のプレミアムとなる。TOBでは常識的な線と思われ、株価は昨日の終値からさらに20%近い上昇が期待されるが安心はできない。
 ロシュは2009年3月に米国子会社Genentech(ジェネンテック)をほぼ5兆円(総額486億ドル)で100%子会社化している。その際は株価プレミアム20%以下のTOB(公開買い付け)だった。ジェネンテック経営陣は激しく抵抗したが、結局はTOBが成立して上場廃止、という流れだったと記憶している。
 四季報データでは現在のロシュの持ち株比率59.8%を含めて外国株主比率は75.9%。親会社以外の外国株主は16%となる。日本では上場廃止の際に少数株主が不利益を被る事例が多く見られてきたが、今回は少数株主の4割を占める外国株主の反応に注目が集まりそうだ。