2015/10/16

抗凝固剤プラダキサの中和剤をFDAが加速承認

FDAは、ベーリンガーインゲルハイムが申請していた、経口凝固剤プラダキサPRADAXA(一般名:ダビガトランdabigatran)に対する中和剤プラキシバインドPRAXBIND(一般名:イダルシズマブidarucizumab)のBLAを加速審査制度の下で優先審査により承認した。プラキシバインドは、プラダキサを服用中の患者で出血を伴う手術を要するなどの緊急時に使用される。プラキシバインドは、ヒト型モノクローナル抗体のFabフラグメントで、凝固系カスケードには影響せずにプラダキサの抗凝固活性のみを特異的に解消し、患者の凝固活性を回復させる。本剤は、2014年6月にFDAからBT指定を受けていた。

申請の根拠は、健常人を対象とした3本の臨床試験と、第3相RE-VERSE AD試験の中間解析である。RE-VERSE AD試験では、患者90例中81例で凝固因子能の回復達成が認められた。血栓性イベントが5例に認められたが、抗血栓療法を受けた患者はなかった。

(参考)Xarelto(バイエル/J&J、日本名イグザレルト)やEliquis(BMS/ファイザー、日本名エリキュース)といったファクターXa阻害剤がシェアを拡大し、プラダキサの成長に陰りが見えはじめていた。ベーリンガーインゲルハイムが2014年度決算で計上したプラダキサ売上12億ユーロ(1800億円)は前年比1%減だった。中和剤プラキシバインドの投入によってプラダキサが競争力を回復するか、注目される。

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