2018/01/12

PARP阻害薬オラパリブの追加効能「乳がん」をFDAが承認

オラパリブがPARP阻害薬として初めて卵巣がん以外の適応症を取得  
 FDAは「BRCA遺伝子変異陽性・HER2受容体陰性の転移性乳がん患者に対する二次療法」をオラパリブ(olaparib、販売名:リムパーザ)の追加適応症として承認した。PARP阻害薬が卵巣がん以外の適応症で承認されるのは初めてである。 オラパリブはアストラゼネカが創製し、進行性卵巣がんの治療薬として2014年にFDA承認を取得した。2017年の売上実績は3億㌦(330億円)、前年比35%増だったが米国市場に限ると第4四半期(10-12月)に前年比74%増と一段と大きく増加している。米国では8月に「BRCA遺伝子変異の有無にかかわらず、白金製剤との併用による維持療法」が承認され、卵巣がん適応症の対象患者が大きく拡大したことが最大の要因である。さらに乳がんの適応症も加わり、数年内に10億㌦を超えるブロックバスターとなる可能性が高まった。昨年7月にはメルク(MSD)が一時金16億㌦(予定総額85億㌦、9300億円)をアストラゼネカに支払い、PARP阻害薬とMEK阻害薬を共同開発・販売する提携契約を締結している。
 競合するPARP阻害薬は2016年にクロービス(Clovis)が開発したルブラカ(RUBRACA)、2017年にテサロ(Tesaro)が開発したゼジュラ(Zejula)の2品目が承認された。いずれもBRCA遺伝子変異陽性・再発または進行性卵巣がんに対する3次~4次療法としての 承認にとどまっている。ファイザーが2016年に買収したメディベーションのタラゾパリブ(talazoparib)は乳がんでの初回申請をめざして開発中。転移性乳がん患者を対象とした第3相試験EMBRACAにおいて無増悪生存期間の有意な延長を示した(2017年12月)。アッヴィーが開発するベリパリブ(veirparib)は非小細胞肺がんおよびトリプルネガティブ乳がんを対象としたP3試験が不調に終わった(2017年8月)。