2018/06/03

武田薬品ウェバー社長の書簡について

武田薬品が「株主の皆様へ」と題する社長レターを発表しました。
https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/b4hc01/

ウェバー社長の説明は相変わらずEBITDAの一点張りです。ここに最大の問題があります。というよりも、EBITDAで最大の問題を隠しています。

EPS(一株利益)についても会計上のEPSではなく、「実質的なEPS」を配当金を維持する根拠としています。配当の原資は減価償却費を計上したあとの、会計上のEPSでなければなりません。これは企業が永続的な企業であり続けるためには、配当金が償却費を積み立てたあとの「純利益」を超えてはならないからです。

製造機械などの有形資産は経年劣化で10年もすると必ず壊れます。その時に設備を買い替えなければ事業は継続できず、企業は存続できません。健全で永続的な企業は「減価償却費」を十分に積み立てて、同水準以上の設備に更新し続けて競争力を維持する必要があります。無形固定資産の償却もおなじです。製薬企業の場合は特許の残存年数が毎年減っていくなかで償却費を積み立てて更新投資をできなければ、事業規模を維持できずに衰退するだけです。

したがって、企業の純利益は事業を継続可能とするための、あらゆる支出を控除したあとの利益となります。会計学の教科書で最初に勉強することかと思います。あたりまえのことを書いているようで恥ずかしくなりますが武田薬品の経営陣は恥ずかしくないのでしょうか?

本案件の発表直前に 最高財務責任者(CFO)が去ったのも、この辺に原因があったのかと思います。

EBITDAの問題は「考える会」のホームページに掲載しています、ご参照ください。(LINK ➔ ShireのEBITDAについて