2018/06/09

ShireとのM&Aに反対する理由 第3版

血友病市場のゲームチェンジャーとなる二重特異抗体の新薬ヘムライブラがインヒビター非保有患者への効能拡大を6月5日に申請、FDAはこれを優先審査とし、10月4日には承認される見通しとなりました。従来の血液由来第8因子製剤の市場は、ウイルス混入の危険性や投与頻度の問題などから消滅すると予想されます。シャイアーにとっては年間30億㌦(3300億円)の売上減少となります。今回の改訂版ではシャイアーの企業収益は2019年から長期の減収傾向が始まる収益モデルとなりました。

血液製剤は石油製品と同じように「連産品」です。最も付加価値の高いガソリンの販売シェアが低い石油会社は重油の販売でも不利になります。原料コストを重油からも回収する必要があるからです。同じことが血液製剤にもあてはまります。高額な第8因子の売上がなくなると、23億㌦(2600億円)を売り上げるグロブリンの製造原価が大幅に増加します。減損処理は血友病製品だけで1兆円、血液事業全体で2兆円に達する可能性があります。

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