中外製薬は、ROS1/TRK 阻害剤ROZLYTREK(一般名:entrectinib)カプセル100 mg、同200 mg について、NTRK 融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌を効能とした製造販売承認を厚生労働省より取得したと発表した。ROZLYTREK は、先駆け審査指定制度対象品目および希少疾病用医薬品の指定を受けていて、世界に先駆けての製造販売承認の取得である。
本剤は、ROS1(c-ros 癌遺伝子、及びTRK(神経栄養因子受容体)ファミリーを強力かつ選択的に阻害する経口投与可能なtyrosine kinase 阻害剤である。ROZLYTREKは、ROS1 及びTRK kinase 活性を阻害することにより、ROS1 又はNTRK 融合遺伝子を有する癌細胞の増殖を抑制する。ROZLYTREK は、前治療後に病勢が進行した、または許容可能な標準治療のないNTRK 融合遺伝子陽性局所進行又は遠隔転移を有する成人及び小児の固形癌に対し、FDA よりBreakthrough Therapy に、EMA よりPRIME(PRIority Medicines)に指定された。
承認は、オープンラベル、多施設、国際共同、第2 相臨床STARTRK-2 試験成績に基づいている。有効性評価は、NTRK 融合遺伝子陽性固形癌の成人患者51 人を対象に行った。また、小児の有効性評価は海外第1/1b 相STARTRK-NG 試験に登録されたNTRK 融合遺伝子陽性固形癌患児5 人で行った。一方、安全性評価はSTARTRK-2 試験に加え、2 つの海外第I 相STARTRK-1 試験およびALKA 試験の3 本の試験に登録された339 人を中心に行った。有効性評価は、① STARTRK-2試験で、RECIST ver.1.1 に基づく独立評価委員判定による奏効率は56.9%(29 人/51人)(95%CI: 42.3~70.7%)であった。② STARTRK-NG 試験で、RECIST ver.1.1 及びRANO 規準に基づく試験担当医師の判定で、5 人中4 人に奏効が認められた。