2020/02/24

ALK阻害薬アルンブリグによる非小細胞肺がん一次治療

02/24 Takeda, ALK inhibitor, NSCLC
  • Takeda Announces U.S. FDA Grants Priority Review for Supplemental New Drug Application for ALUNBRIG® (brigatinib) as a First-Line Treatment for ALK+ Metastatic Non-Small Cell Lung Cancer
ALK阻害薬アルンブリグ(一般名ブリガチニブ)をALK変異陽性の転移性非小細胞肺がんに対する一次治療とする承認申請を武田薬品が提出、FDAは優先審査に指定した。申請根拠としたフェーズ3ALTA-1L試験は275例を登録し、アルンブリグ1日1回90mg服用群はクリゾチニブ(商品名ザーコリ)1日2回250㎎服用群を上回る成績を収めた。

(参考)
武田薬品は2017年に52億ドル(6000億円)を投じてアルンブリグ発売直前のAriad社を買収した。その3月末には従業員の6割にあたる180名を解雇しており、当面の業績貢献を狙ったプロダクトハングリーの買収に過ぎないと見られていた。しかしながら、同年8月に承認されたアルンブリグの売上高は2017年15億円、2018年48億円、2019年69億円と低迷している。中外製薬が開発し、ロシュが販売するALK阻害薬のトップ製品アレセンサ(一般名アレクチニブ)は2015年にクリゾチニブ無効例の二次治療として初回承認を取得し、2017年11月に一次治療への適応症拡大が承認され、2018年売上高はザーコリを上回った。その段階でアルンブリグはクリゾチニブ無効例を対象とする比較試験を実施しても、承認取得、市場シェア確保といった各段階での困難が予想された。今回のFDAによる優先審査指定により一つのハードルを越えたように思われるが、脳転移例に限定されるといった制約を受ける可能性が大きく、市場性が限定されると予想される。

2014年に二次治療として承認されたジカディア(一般名セリチニブ)は2017年に一次治療への適応症拡大が承認されたものの売上高は100億円に達せず、ノバルティスは昨年(2019年)より開示品目リストから除外した。一方、ザーコリの売上高は500億円台で比較的安定しているが、ファイザーはROS1阻害作用も備えた第三世代のALK阻害薬ローブレナ(一般名ロルラチニブ)の承認を2018年11月に取得し、切り替えを進めている。第二世代として遅れて発売された武田薬品のアルンブリグが一次治療の承認を取得できたとしても市場での成功は期待できないと思われる。