アステラス製薬が開発中の、原発性ミトコンドリア・ミオパチー(Primary Mitochondrial Myopathies: PMM)治療薬ASP 0367/MA-0211(ASP 0367)について、FDA がFast-Track に指定した。
PMMは、遺伝子の変異によりミトコンドリア の機能が障害されるミトコンドリア病であり、筋肉の機能低下、運動における持久力の低下(運動不耐性など)や疲労の増加、ならびに筋萎縮といった症状が現れる。さらに心筋の機能低下による心筋症や心不全、横隔膜など呼吸筋の機能低下による呼吸不全や肺炎などの重篤かつ生命を脅かす合併症を引き起こす可能性がある。ミトコンドリア病は、ミトコンドリア DNA や核DNA のゲノムに病因となる遺伝子変異を有することで引き起こされる疾患であり、この疾患の点有病率は少なくとも8,000 人に1 人(Mitochondrial Myopathies の症状を呈する患者に限定した場合)、もしくは4,300 人に1 人(症状がない患者を含めた場合)であることが報告されている。PMM は、現在FDA から承認された治療法のない、アンメットメディカルニーズの高い疾患である。
ASP 0367は、経口による服薬が可能なPPARδ調節剤である。前臨床試験および健常成人被験者を対象とした第I 相試験結果から、ASP 0367 は筋肉細胞のミトコンドリアの数を増やし、また、ミトコンドリアの機能を高めることで、PMM 患者の運動不耐性や疲労を改善すると考えられている。現在、PMM 患者におけるASP 0367 の安全性と有効性を検証する第2/3 相MOUNTAINSIDE 試験の準備中である。