4 月 2 日、武田薬品は、CoVIg-19 Plasma Alliance(CoVIg-19 Alliance)が、米国国立衛生研 究所(NIH)の米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が出資し、実施した第 3 相臨床試験 [Inpatient Treatment with Anti-Coronavirus Immunoglobulin(ITAC)] において、評価項目を達成し なかったと発表した。臨床試験において安全性の重大な懸念は認められなかった。
CoVIg-19 Plasma Alliance:
COVID-19 パンデミックとの闘いに対処するため、COVID-19 による重篤な合併症のリスクを有する人を対象にした血漿分画製剤の開発を目的に、CSL Behring と武田薬品が共同で結成した CoVIg-19 Plasma Alliance が 2020 年 4 月に締結された。 CoVIg-19 Alliance では、血漿分画製剤で世界をリードする製薬企業が集まり、COVID-19 に よる重篤な合併症のリスクを有する患者の治療を目的としたノーブランドの抗 SARS-CoV-2 ポリクローナル高度免疫グロブリン製剤の開発に取り組んだ。高度免疫グロブリン製剤 (CoVIg-19)は、COVID-19 から回復した人から提供された血漿から精製され、一定量かつ高濃 度の抗体を含有する高品質の医薬品である。CoVIg-19 Alliance には、BioPharma Plasma、Biotest、 GC Pharma、LFB、National Bioproducts Institute、Octapharma および Sanquin も参加した。 ま た、Bill & Melinda Gate 財団がアドバイザーとして支援、Microsoft が CoVIg-19 Alliance の website やドナー募集のための「Plasma Bot」などの技術を提供した。Pall や Uber Health など の組織も現物支援などで CoVIg-19 Alliance に協力した。
ITAC 試験の結果を受けて、CoVIg-19 Alliance の取り組みは終了する。世界中の組織が参 加したこの 1 年間の協働の取り組みにより、製薬企業内外の関係強化と科学的根拠と必要性 に基づいた実用的な規制に向けて新たな視点が得られた。そして、緊急の公衆衛生上のニー ズに対処する今後の協力の機会が明確に定義され、法的に準拠した枠組みが提供された。 CoVIg-19 Alliance は、米国において COVID-19 から回復した多くの人々から血漿を提供 してもらうための協力体制である「The Fight Is In Us」キャンペーンにも参画している。 COVID-19 から回復した人、もしくは回復した人を知っている人は、The Fights In Us. org に アクセスし、簡単な自己診断ツールを使用して血漿の提供に適格かどうかを確認し、近隣の 血液または血漿採取センターを確認することができる。
第 3 相 ITAC(Inpatient Treatment with Anti-Coronavirus Immunoglobulin)試験(NCT 04546581):
本試験は、米国 NIH の米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が実施する、 国際多施設共同、二重盲検、placebo 対照、無作為化試験。本試験は、COVID-19 に対する、 抗 virus 剤 remdesivir と SARS-CoV-2 を中和する高濃度の抗体を含有する抗 coronavirus 高度 immunoglobulin 静注製剤(H-Ig)の安全性、忍容性および有効性を評価する試験である。H-Ig に 含まれる抗体は、COVID-19 から回復した健康な人々から提供された血液の血漿から採取さ れたものである。NIH が設立した INSIGHT Network を通じて、米国および 5 大陸にわたる 10 カ国 63 施設で、約 600 人の患者が試験に登録された。発症後 12 日以内で、生命を脅かすよ うな臓器障害や終末臓器不全のない COVID-19 入院患者を対象にしていた。試験に使用され た H-Ig は、CoVIg-19 Alliance より CSL Behring および武田薬品の他、Emergent Biosolutions お よび Grifols の 4 社から提供された。