4 月8 日、Merck & Co., Inc.(Merck)は、抗PD-1 抗体KEYTRUDA(pembrolizumab)を評価する第3 相KEYNOTE-564 試験で、腎摘除術後または腎摘除術および転移巣切除術後の腎細胞癌に対する術後補助療法として、KEYTRUDA が主要評価項目の無病生存期間(DFS)の延長を達成したと発表した。
1. 腎細胞癌(RCC):
腎細胞癌は、腎臓における最も発生頻度の高い癌で、腎癌の約9 割を占めるとされている。男性は女性の約2 倍の頻度で発症するとされている。腎細胞癌は、多くの場合、他の腹部疾患の画像診断時に偶発的に発見される症例が多い。2020 年には世界で約431,300 人近くが新たに腎癌と診断されたと推定され、約179,400 人が死亡したと推定されている。2021 年には、米国だけでも、約76,100 人近くが新たに腎癌と診断され、約13,800 人近くが死亡すると推定される。
2. 第3 相KEYNOTE-564 試験:
本試験は、腎摘除術後の再発リスクが中~高度もしくは高度、またはM1 NED(転移はあるものの原発病変なし、M1 no evidence of disease)の淡明細胞型RCC 患者に対する術後補助療法として、KEYTRUDA の単剤療法を評価する無作為化、二重盲検第3 相試験(NCT03142334)である。この試験では、950 人の登録患者を、KEYTRUDA 群(3 週間サイクルの初日に200mg を静脈内投与し最大17 サイクル継続)とplacebo 群(3 週間サイクルの初日に生理食塩水を静脈内投与し最大17 サイクル継続)に無作為に割り付けた。主要評価項目はDFS、副次評価項目はOS や安全性などでる。
3. 試験結果:
独立データ監視委員会の中間解析により、KEYTRUDA の単独療法ではplacebo と比較してDFS に統計学的に有意で臨床的に意味ある改善が示された。この試験では引き続き副次評価項目の全生存期間(OS)を評価する。本試験におけるKEYTRUDA の安全性プロファイルは、これまでに報告されている試験の結果と一貫していた。この結果は今後の医学学会で発表し、規制当局に提出する。
4. Merck 研究開発本部上級副社長、グローバル臨床開発責任者兼最高医学責任者Dr. Roy
Baynes のコメント:
「2 年近く前に初めて腎細胞癌の承認を取得して以来、KEYTRUDA については、axitinib との併用療法が進行性腎細胞癌患者の重要な初回治療の選択肢となってきた。この疾患の、より早期の段階にある患者に対するKEYTRUDA の効果を評価する研究から得られた今回のデータでは、腎細胞癌に対する術後補助療法における抗PD-1 抗体の優れた結果が初めて示された。今後速やかにKEYNOTE−564 試験の結果を医学学会や規制当局に提出していきたいと考えている」と述べている。
5. Merck の癌領域への取り組み:
Merck は、画期的な科学を革新的な癌治療薬に変換して世界中の癌患者を助けることに取り組んでいる。同社の癌事業で、癌と闘う人々を助けることが我々の情熱であり、癌治療薬へアクセスを容易にすることは我々の責任である。また、癌領域の取り組みの一環として、医薬品業界でトップを争う急成長を遂げている開発プログラムにより、30 種類以上の癌に対する癌免疫療法の可能性を模索している。また、引き続き戦略的買収を通じてポートフォリオを強化し、進行癌の治療を改善する可能性をもつ有望な癌治療薬候補の開発を最優先に進めている。(完)
(主な出典:https://www.merck.com/news/mercks-keytruda-pembrolizumab-demonstrated-superior-disease-free-survival-dfs-compared-with-placebo-as-adjuvant-therapy-in-patients-with-renal-cell-carcinoma-rcc-following-surgery/他)