5 月20 日、アステラス製薬は、Seagen Inc.(Seagen)と共同開発を進めている抗体-薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate: ADC) enfortumab vedotin(遺伝子組換え)( enfortumab vedotin)について、cisplatin 不適応の局所進行または転移性尿路上皮癌患者を対象にしたEV-201 試験のコホート2、およびEV-103 試験の用量漸増コホートと用量拡大コホートA の最新データを発表するとプレスリリースした。なお、これらの試験データは2021 年6 月4 日~8 日にかけて開催される2021 年米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology: ASCO)バーチャル年次総会において発表予定で、発表概要は以下の通りである。
1. EV-201 試験コホート2(抄録番号4524):
第2 相EV-201 試験コホート2(NCT03219333)では、PD-1 またはPD-L1 阻害剤による治療歴があり、白金製剤による化学療法未治療かつcisplatin 不適応の局所進行性または転移性尿路上皮癌患者を対象に、enfortumab vedotin を評価した。中央値16 カ月の追跡調査で、主要評価項目の盲検下独立中央評価により評価された奏効率( ORR)は51%(95%CI:39.8, 61.3)であり、22%に完全奏効(CR)が認められた。奏効期間( DOR)の中央値は13.8 カ月(95%CI:6.4, 未達)、無増悪生存期間(PFS)の中央値は6.7 カ月(95%CI:5.0, 8.3)、全生存期間(OS)の中央値は16.1 カ月(95%CI:11.3, 24.1)であった。頻度の高い治療と関連のある有害事象(TRAE)は脱毛症(51%)、末梢感覚神経障害(49%)および倦怠感(34%)であり、頻度の高いグレード3 以上でTRAE は、好中球減少症(9%)、斑状丘疹状発疹(8%)および倦怠感(7%)であった。グレード3 以上で注目すべきTRAE は、皮膚反応(17%)、末梢神経障害(8%)、高血糖(6%)であった。また、初回解析において、75 歳以上で複数の合併症を有する患者4 例の死亡が、TRAE として治験担当医師より報告された。なお、EV-201 試験コホート2 の主要解析(The Lancet Oncology)に基づいたenfortumab vedotinの生物薬品一部変更承認申請(sBLA)は、FDA の優先審査の指定を受けた。
2. EV-103 試験コホートA(抄録番号4528):
第1b/2 相EV-103 試験(NCT03288545)の用量漸増コホートおよび用量拡大コホートA では、cisplatin 不適応、局所進行または転移状態において全身治療を受けておらず、かつ12 カ月以内に術前または術後の補助化学療法として白金製剤の治療を受けていない局所進行または転移性尿路上皮癌患者を対象に、enfortumab vedotin とKEYTRUDA(pembrolizumab)との併用療法を評価した。中央値24.9 カ月の追跡調査後の長期解析において、安全性プロファイルはこれまでの知見と概ね一貫しており、新たな安全性上のシグナルは報告されなかった。 頻度の高いTRAE は末梢感覚神経障害(55.6%)、倦怠感(51.1%)、脱毛症(48.9%)であり、頻度の高いグレード3 以上でTRAE はlipase 増加(17.8%)、斑状丘疹状発疹(11.1%)、および倦怠感(11.1%)であった。グレード3 以上で注目すべきTRAE は、皮膚反応(20%)、高血糖(8.9%)、末梢神経障害(4.4%)であった。また、初回解析において、関連の可能性があるとして1 人の死亡(多臓器不全症候群)が報告された。また、前回の解析で報告されているが、ORR は73.3%(95%CI:58.1, 85.4)であり、15.6%に完全奏効(CR)がみられ、PFS の中央値は12.3 カ月(95%CI:8.0, 未達)であった。追跡調査後の長期解析において、DOR の中央値は25.6 カ月(95%CI:8.3, 未達)、OS の中央値は26.1カ月(95%CI:15.7, 未達)であった。(完)
(主な出典:https://www.astellas.com/jp/ja/news/16926 他)