5 月20 日、武田薬品は、上皮成長因子受容体(EGFR)Exon20 挿入変異陽性の、白金製剤をベースにした化学療法の前治療歴を有する突然変異陽性(挿入陽性)転移性非小細胞肺癌(mNSCLC)患者に経口投与されたmobocertinib(TAK-788)の第1/2 相試験の最新データを第27回バーチャル形式で開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で報告すると発表した。
1. mobocertinib:
EGFR Exon 20 挿入変異を選択的に標的とするように特別に設計された、開発中のfirst-in-class の経口tyrosine kinase 阻害剤(TKI)である。2019 年、FDA は、HER2 変異またはExon 20 挿入変異を含むEGFR 変異を伴う肺癌の治療薬として、mobocertinib を希少病薬に指定した。2020 年4 月、mobocertinib は、白金製剤ベースの化学療法後に病勢が進行したEGFR Exon20 挿入+ mNSCLC 患者に対して、FDA からBreakthrough Therapy(BT)の指定を受けた。2020 年10 月、mobocertinib は、少なくとも1 回の全身化学療法の前治療歴のあるEGFR Exon20 挿入変異+の局所進行性または転移性NSCLC 患者に対して、中国医薬品評価センター(CDE)によってBT の指定を受けた。
2. 許認可情報:
2021 年4 月にFDA にNDA を提出し、優先審査の指定を受けた。承認された場合、mobocertinib は、EGFRExon20 挿入変異を選択的に標的とするように特別に設計された最初の経口療法となる。武田薬品は、この治験薬がFDA によって審査されている間に、mobocertinib へのアクセスを受ける資格の可能性がある患者のために、拡大アクセスプログラム(EAP)(欧州ではコンパッショネート・ユース)を確立した。武田薬品のEAP の資格を得るための特定の条件を含む追加情報が提供されている。
3. 第1/2 相試験:
本試験では、非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象に、経口mobocertinib(TAK-788)の安全性、薬物動態、および抗腫瘍活性を評価した。本試験は、EGFRExon20 挿入+転移性NSCLC(mNSCLC)患者を対象に、mobocertinib を単剤療法として、また、化学療法と併用して、いくつかの拡張コホートで評価した第1 相用量漸増フェースから構成されている。白金製剤の前治療歴のある患者集団における有効性分析では、第1/2 相試験で以前に白金製剤ベースの治療を受け、160 mg のmobocertinib で1 日1 回投与されたEGFR Exon 20 挿入+mNSCLC の114 人の患者で評価した。
4. EGFRExon20 挿入+ mNSCLC:
第1/2 相試験の分析には、白金製剤ベースの化学療法を受けたEGFRExon20 挿入+ mNSCLC の患者が含まれていた。全ての患者は、160 mg 1 日1 回の経口投与で治療された。その他の重要な評価データは、独立審査委員会(IRC)で確定診断された、奏効率(ORR)は28%、奏効期間(DOR)中央値は17.5 カ月、病勢管理率(DCR)が78%など、以前に報告されたデータと一致していた。
観察された安全性プロファイルは管理可能であり、以前に認められた知見と一致していた。更新されたデータから白金製剤の前治療歴を有する患者における最も一般的な治療関連の有害事象(TRAE;≥20%)は、下痢(91%)、発疹(45%)、悪心(38%)、食欲減退(35%)、吐き気(34%)、乾燥肌(31%)および嘔吐(30%)であった。グレード3 以上のTRAE(5%以上)は下痢(21%)のみであった。 2%を超えて中止に至ったAE は、下痢(4%)および悪心(4%)であった。(完)
(主な出典:https://www.takeda.com/newsroom/newsreleases/2021/takeda-presents-updated-results-for-mobocertinib-further-substantiating-the-clinical-benefit-in-patients-with-egfr-exon20-insertion-mnsclc/他)