2021/05/21

非小細胞肺癌のEGFR Exon 20 挿入変異に対する初の標的療法RYBREVANT をFDAが承認

5 月21 日、FDA は、腫瘍に特定の種類の遺伝子変異 [上皮成長因子受容体(EGFR) Exon 20挿入変異]のある非小細胞肺癌の成人患者に対する最初の治療法として、EGFR とMET の細胞外ドメインに結合する二重特異性抗体薬、RYBREVANT (amivantamab-vmjw)を承認したと発表した。FDA は、また、RYBREVANT のコンパニオン診断法としてGuardant 360 CDx(Guardant Health Inc.)を同時に承認した。

1. FDA Oncology Center of Excellence のMedical Oncology 責任者兼CDER Oncology Disease課次長代理Dr. Julia Beaver のコメント:

「高精度腫瘍学の進歩により、医薬品開発が引き続き促進され、肺癌などの疾患を、標的療法に適したバイオマーカーで定義された集団にサブセット化できるようになった。本日の承認により、初めて、EGFR Exon 20 挿入変異を有する非小細胞肺癌患者が標的療法の選択肢を持つことになる」と述べている。

2. 米国における肺癌の疫学:

American Cancer Society によると、肺癌は最も一般的な癌種であり、世界中の癌関連死の主要な原因であり、非小細胞肺癌が全肺癌の80%から85%を占めている。非小細胞肺癌の患者の約2%から3%は、EGFR Exon 20 挿入変異を有している。これは、急速な細胞増殖を引き起こし、その結果癌の増殖を助けるタンパク質の変異のグループである。

3. RYBREVANT の有効性臨床評価:

臨床研究者らは、白金製剤ベースの化学療法中、またはその後に病勢が進行した非小細胞肺癌およびEGFR Exon 20 挿入変異を有する81 人の患者の試験でRYBREVANT の有効性を評価した。測定された主要評価結果は、奏効率(腫瘍が薬剤によって破壊または縮小された患者割合)であった。全ての患者がRYBREVANT を投与された試験集団では、全体の奏効率(ORR)は40%であった。奏効期間の中央値は11.1 カ月であり、患者の63%が6 カ月以上の奏効期間を示した。

4. 安全性: 

RYBREVANT の最も一般的な副作用には、発疹、注入関連の反応、指の爪や足指の爪の周りの皮膚感染症、筋肉や関節の痛み、息切れ、吐き気、倦怠感、下肢や手や顔の腫れ、口腔の痛みなどがあり、咳、便秘、嘔吐、特定の臨床診断検査値の変化が含まれる。患者が間質性肺疾患の症状を発症した場合はRYBREVANT の投与を中断し、間質性肺疾患が確定診断された場合は永久に中止する必要がある。RYBREVANT を服用している患者は、治療中および治療後2 カ月間は日光への曝露を制限する必要がある。RYBREVANT は視力に問題を引き起こす可能性がある。 RYBREVANT は、妊娠中の女性に投与すると胎児に害を及ぼす可能性もある。従って、生殖能力のある女性の妊娠状態は、治療開始前に確認する。

5. 許認可情報:

RYBREVANT は、この適応症に対して優先審査およびBreakthrough Therapyの指定を受けた。FDA は、Johnson & Johnson 傘下のJanssen Pharmaceuticals Co. にRYBREVANT の承認を認可した。今回の承認審査は、FDA のOncology Center of Excellence のイニシアチブであるProject Orbis の下で実施された。 Project Orbis は、国際的な規制当局のパートナー間で腫瘍薬の同時提出と審査を行うための枠組みを提供するシステムである。この審査では、FDA はBrazil の医療規制庁および英国の医薬品医療製品規制庁(MHRA)と協力した。承認申請の審査は、他の規制当局で進行中。(完)

(主な出典:https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-approves-first-targeted-therapy-subset-non-small-cell-lung-cancer他)