2021/05/26

FDA、軽症から中等症のCOVID-19治療法として新mAb sotrovimabのEUAを認可

5月26日、FDAは、SARS-CoV-2 ウイルス直接検査結果が陽性で、入院や死亡を含む重症 COVID-19 に進行するリスクの高い、成人および12歳以上の小児患者の軽症から中等症のCOVID-19の治療法として、開発候補のモノクローナル抗体(mAb)療法 sotrovimab の緊急使用許可(EUA)を発行したと発表した。Vir Biotechnologyと共同開発中のGlaxoSmithKline LLCがEUAの申請者である。

1. EUAの認可:
SARS-CoV-2 virusの直接検査結果が陽性で、入院や死亡を含む重症 COVID-19 に進行するリスクの高い、成人および小児患者((12 歳以上で体重 40 Kg以上)(約88ポンド) の軽度から中等度のCOVID-19の治療法としての本mAbの安全性と有効性は、引き続き COVID-19治療として評価が継続されている。sotrovimabは、COVID-19で入院している患者、または COVID-19で酸素療法が必要な患者への使用は承認されていない。EUAは、医療提供者がsotrovimabを500 mgの単回の静脈内投与を許可している。

2. sotrovimab:
ヒトACE2受容体への結合には競合せず、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質受容体結合ドメイン上の保存されたエピトープに結合する組換えヒト IgG1κ mAbである。sotrovimab は、個別の単回投与用のvialで提供される。個々のvialおよびcarton の コンテナのラベルには、「緊急使用許可の下での使用」と明記されている。

3. 本mAbの安全性と有効性:
引き続き COVID-19治療薬として評価されている。sotrovimabは、COVID-19 のために入院している患者、または COVID-19 のために酸素療法が必要な患者には承認されていない。この治療法は、COVID-19 で入院している患者にはベネフィットを示しておらず、高流量酸素または人工呼吸器を必要とする入院患者に本mAbを投与すると、臨床アウトカムが悪化する可能性がある。本mAbは、virusなどの有害な抗原を撃退する免疫系の能力を模倣して実験室で創製されたタンパク質で、sotrovimab は、SARS-CoV-2 のスパイク(S)タンパク質に対して特異的に結合するmAbであり、virusの付着とヒト細胞への侵入をブロックするように設計されている。

4. EUAの根拠:
sotrovimabのEUA認可の根拠となるデータは、軽症から中等症の COVID-19 の症状を有し、SARS-CoV-2 検査結果が陽性の、入院していない成人583人を対象にした、第1/2/3相の無作為化、二重盲検、placebo対照臨床試験の中間解析に基づいている。これらの患者のうち、291人はsotrovimabを投与され、292人はCOVID-19症状の発症から5日以内にplaceboを投与された。主要評価項目は、29 日目までにCOVID-19 の症状の進行 (あらゆる症状の緊急措置、またはあらゆる原因による死亡に至った 24 時間を超える緊急入院と定義されている) であった。入院または死亡は、placeboを投与された患者の21人(7%) に発生し、sotrovimab投与された患者では 3 人 (1%) に発生し、85%の減少が示された。

5. FDA CDERセンター長Dr. Patrizia Cavazzoniのコメント:
「今回のEUAの承認により、COVID-19 のハイリスク患者が入院に至らないよう悪化を防ぐ新たな治療の選択肢が提供されることになった。米国で流行している COVID-19の亜種に対する活性を維持すると予想される当該mAb療法による治療の手段を拡大することは重要なことである」と述べている。

(完)

(主な出典:https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/coronavirus-covid-19-update-fda-authorizes-additional-monoclonal-antibody-treatment-covid-19