6 月4 日、Novartis は、MET 遺伝子exon 14 skipping(METex14)変異を有する転移性非小細胞肺癌(NSCLC)に対してTABRECTA(capmatinib)による治療を受けた成人患者における奏効率(ORR)の最新データと、今回初めて公表された全生存期間(OS)データを発表した。現在進行中の主要なマルチコホート第2 相GEOMETRY mono -1 試験データは、バーチャル形式の2021 年米国臨床腫瘍学会(ASCO)(Poster Discussion Session Abstract #9020)で発表された。
1. TABRECTA(capmatinib):
本品はMET を標的とするkinase 阻害剤である。TABRECTAはIncyte が開発し、Novartis は、2009 年にIncyte からライセンスを取得した。この契約により、Novartis はIncyte よりあらゆる適応症に対するcapmatinib および特定のバックアップ化合物を、全世界的かつ独占的に開発および商業化する権利を取得した。本品は、2020 年5 月に米国FDA が承認する検査法で検出されたMETex14 変異を有する転移性NSCLC の成人患者に対する効能をFDA から承認を取得している。この適応症はORR およびDOR に基づく加速承認により承認された。
2. GEOMETRY mono-1 試験:
EGFR 野生型およびALK 融合遺伝子陰性METex14 変異陽性転移性NSCLC を対象にした第2 相、多施設共同、非無作為化、非盲検、マルチコホート試験である。登録患者はcapmatinib 錠400 mg を1 日2 回経口投与している。患者は、MET の状態および前治療歴に基づいてコホートに割り付けられた。主要評価項目は、BIRC 判定によるRECIST v 1.1 に準拠した奏効率(ORR)。主な副次評価項目は、BIRC 判定による奏効期間(DOR)である。本解析には、未治療患者(1 次療法)を対象とした拡大コホート7 と既治療患者(2 次療法治療以降)を対象にした拡大コホート6 から得られた新たなデータと、既報のコホートから得られた計160 例のデータが含まれる。
3. 有効性追加データ:
1) ORR;
(1) 未治療例では67.9%(95%CI;47.6, 84.1)および65.6%(95%CI;46.8, 81.4)(コホート5 b;28 例およびコホート7;32 例)。
(2) 既治療例では40.6%(95%CI;28.9, 53.1)および51.6%(95%CI;33.1, 69.8)(コホート4;69例およびコホート6;31 例)。
2) DOR の中央値;
(1) 未治療例は12.6 カ月(95%CI;5.6 推定不能)及びNE(95%CI;5.5-推定不能)(コホート5 b;28 例およびコホート7;32 例)。
(2) 既治療例は9.7 カ月(95%CI;5.6 -13.0)及び8.4 カ月(95%CI;4.2-推定不能)(コホート4;69 例およびコホート6;31 例)。
3) OS;
(1) 未治療例は20.8 カ月(95%CI;12.42, 推定不能)(コホート5 b;28 例)。
(2) 既治療例は13.6 カ月(95%CI;8.61, 22.24)(コホート4;69 例)、拡大コホート6 および7のOS 中央値は未達。
4. 安全性:
新たな安全性上の懸念や予期し得ない安全性所見は認められなかった。被験者の98%にグレード(GR)を問わず1 件以上の有害事象(AE)が発現、 50.9%は1 件以上の重篤な有害事象(SAE)が発現した。13%は治療との関連性が疑われた。全コホートを通じて発現頻度の高いAEs(20%超、全GR)は、末梢性浮腫、悪心、嘔吐、血中creatinin 増加、呼吸困難、疲労及び食欲減退、主なAE はGR3/4 であった。(完)
主な出典:https://www.novartis.com/news/media-releases/novartis-announces-tabrecta-first-published-overall-survival-and-updated-overall-response-data-patients-metex14-metastatic-nsclc