11 月5 日、Pfizer は、臨床開発中の新規COVID-19 経口抗virus 薬候補PAXLOVID™ (PF-07321332 + ritonavir)が、重症化のリスクは高いが、入院していない成人のCOVID-19 患者を対象にした、無作為化、二重盲検の第2/3 相 EPIC-HR 試験(COVID-19 のprotease 阻害を評価)の中間解析において、入院と死亡のリスクを大幅に減少させたと発表した。
1. 第 2/3 相 EPIC-HR 試験中間解析
登録は、南北米国、欧州、アフリカ、およびアジアの臨床試験施設から3,000 人の登録が予定されていたが、患者の登録停止の決定時点で、患者の70%が登録済みであり、患者の45%が米国在住であった。登録された被験者は、軽症から中等症の症状を伴い、5 日以内にSARS-CoV-2 感染が検査室で確定診断され、COVID-19 による重症化に進展するリスクの増加に関連する少なくとも1つの特徴的な病状を有することが組み入れ基準であった。各患者は無作為化(1:1)され、PAXLOVID™またはplacebo を12 時間毎に5 日間経口投与された。
2. PAXLOVID™ (PF-07321332+ ritonavir) 及びEPIC 開発プログラム
PAXLOVID™は臨床開発中のSARS-CoV-2 protease 阻害剤抗virus 療法であり、感染の最初の兆候または曝露の最初の認識時に処方でき、特に経口投与用にデザインされており、患者が入院と死亡に至る重症化の防止に役立つ可能性がある。低用量のritonavir との同時投与は、PF-07321332 の代謝または分解を遅らせ、高濃度で長期間体内での活性を維持する目的で配合されている。PF-07321332 は、virus RNA 複製の前に発生するタンパク質分解として知られる段階でvirus複製を阻害する。前臨床試験では、PF-07321332 の変異原性は認められていない。第2 / 3 相EPIC-HR 試験は2021 年7 月に登録を開始した。第2 / 3 相EPIC-SR(標準リスク患者におけるCOVID-19 に対するprotease 阻害の評価)、およびEPIC-PEP(COVID に対する曝露後予防とprotease 阻害の評価)は、 2021 年8 月と9 月にそれぞれ開始され、この中間解析には含まれておらず現在進行中である。
3. 予定された中間解析結果
1) 症状発症後3 日以内に治療開始
主要評価項目の症状の発症から3 日以内に治療を受けた患者では、placebo と比較して、COVID-19 関連の入院または何らかの原因による死亡のリスクが89%減少したことが示された。PAXLOVID™投与患者の0.8%が、無作為化後28 日目までに入院(3/389 が死亡なしで入院)したのに対して、placebo投与で入院または死亡した患者は7.0%(27/385 が入院し、その後7 人死亡)であった。これらの結果の統計的有意性は高かった(p <0.0001)。
2) 症状発症後5 日以内に治療開始
PAXLOVID™投与患者の1.0%が、無作為化後28 日目まで入院(6/607 入院、死亡なし)したのに対して、placebo 投与患者の6.7%(41/612 入院、その後10 人死亡)と比較して、高い統計的有意差(p <0.0001)を示し、COVID-19 関連の入院または死亡が3 日目同様に減少した。 28 日目までの全患者集団においてplacebo 投与患者では10人(1.6%)が死亡したのと比較して、PAXLOVID™投与患者の死亡は報告されなかった。
3) 試験の早期中止; 独立データ監視委員会(IDMC)の勧告とFDA との協議により、Pfizerはこれらの結果に示されている極めて高い有効性から、当該臨床試験へのさらなる登録を中止し、緊急使用許可(EUA)申請に向け、進行中のローリング申請の一部としてこれらのデータを可及的早期に提出する計画である。承認または認可された場合、Pfizer 研究所で開発されたPAXLOVID™は、この種の最初の経口抗ウイルス薬になり、特別に設計されたSARS-CoV-2-3 CL Protease 阻害剤になる。
4) 安全性;データの評価には、EPIC-HR 試験の1,881 人の患者のより大きなCohort が含まれ、そのデータは分析時に入手可能であった。治療に起因する有害事象は、AXLOVID™ (19%)とplacebo (21%)の間では同等であり、そのほとんどが軽症であった。治療に起因する有害事象で評価可能な患者の中で、PAXLOVID™投与患者では、placebo 投与患者と比較して、重篤な有害事象の比率は小さく(1.7% vs. 6.6%)、有害事象による被験薬の中止は2.1% vs. 4.1%。
5) EPIC 臨床開発プログラムの今後;残りの部分が予定通り完了し、承認または認可されれば、重症化、入院、死亡のリスクを減らし、感染の可能性を減らすために、在宅治療としてより広く処方することが可能になる。暴露後、成人の間で懸念される循環変異株や他の既知のcorona virus に対して、in vitro で強力な抗ウイルス活性を示しており、複数のタイプのcorona virus 感染症治療薬としての可能性を示唆している。
参考. Pfizer 第3 四半期の成績:11 月2 日発表の同社の成績では、売上総額24.1$ billion、
COVID-19 vaccine COMIRNATY の売上は13 $billion に達した。FY2021 には、2.3 billion dosesの出荷予定があり、最終的に36 $ billion の売上を予測している。(完)
(主な出典:https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/pfizers-novel-covid-19-oral-antiviral-treatment-candidate 他)