FDAは、ノバルティスのEntrestoエントレスト(サクビトリル/バルサルタン配合)錠を左室駆出率の低下した心不全患者の治療薬として優先審査で承認した。承認された効能は、NYHAクラスII-IVの心不全患者における心血管系死亡および心不全による入院リスクの軽減である。
エントレストは、ファースト・イン・クラスのアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)であるサクビトリル(LCZ696)とARBのバルサルタンの配合錠である。サクビトリルはプロドラッグで活性代謝物のLBQ657が酵素のネプリライシン(NEP:neutral endopeptidase)を阻害することで心臓の神経ホルモン系(NP系)を保護し、血管を収縮させる有害なシステムRAASをARBと共に抑制する。
現在、カナダ、スイス、EU各規制当局で販売承認申請を審査中で、同社は売上のピークを年商50億ドルと想定している。
承認申請の根拠となったPARADIGM-HF試験(8,442人を登録)において、エントレストはエナラプリルと比較して心血管系死亡リスクを20%、心不全による入院リスクを21%、全死亡のリスクを16%低減した。
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