2012/06/27

エーザイが提携するArena社の抗肥満薬ロルカセリン(製品名BELVIQ)をFDAが承認

抗肥満薬BELVIQ は 5月のFDA諮問委員会で承認勧告され、予定通りの承認。エーザイが米州20カ国で販売、米国アナリストの間ではピーク時20億ドル(1600億円)という予想もある。BELVIQと開発競争を繰り広げてきた2品目のうちVivus社のQSYMIAも7月18日に承認された。FDAが抗肥満薬を承認するのはロシュの脂肪吸収阻害剤XENICAL以来13年ぶり。相次いで承認された2品目はどちらも2009年末に申請→諮問委員会の非承認勧告→FDAの承認見送り(CRL)→再申請→承認へと、初回申請からは3年近くを要した。 今なお未承認のOrexigen社のCONTRAVEの方が当初は順調だったがFDAは11年1月に諮問委員会の承認勧告に反してCRLとし、1年後の今年2月に心血管系リスクを評価する追加臨床試験のSPA(Special Protocol Assessment)に合意した。患者組み入れは順調で13年に再申請、14年の承認となりそうだ。 CONTRAVEは既存製品として安全性が確立している2つの成分、オピオイド系の食欲抑制剤ナルトレキソンと抗うつ薬ブプロピオンの合剤。一方、QSYMIAも既発売2成分の合剤だが食欲抑制剤フェンテルミンには心拍上昇、抗てんかん薬トピラマートには催奇形性が懸念されていた。BELVIQの成分ロルカセリンは脳内セロトニン受容体を刺激する新規化合物で、一般論では未知の副作用もあり得た。 この状況で武田薬品が北米販売権を取得したCONTRAVEは最もリスクが少ない選択だった。一方、エーザイがBELVIQで支払った一時金5000万ドル(40億円)はCONTRAVEと同額。エーザイの幸運が際立つ結果となった。