2013/09/13
ロシュの抗体医薬パージェタに早期乳がん適応症の追加をFDA諮問委員会が勧告
乳がん治療薬パージェタは「手術不能、転移、再発」など、HER2陽性の後期がん患者を対象として米国で昨年6月、欧州で今年3月に承認された。日本でも今年6月に承認され、9月に発売されたばかり。FDAの最終決定は10月31日の予定だが、早期がんへの適応拡大が発売後1年あまりで加速承認となれば歴史的な快挙となる。同じくロシュ(ジェネンテック)が開発した抗HER2抗体の乳がん治療薬ハーセプチンの場合は1998年に世界初のテーラーメード医薬として承認され、早期がんへの適応拡大は8年後の2006年だった。
乳がんでは外科治療が第1選択として確立しており、抗がん剤は術後アジュバント(補助)療法の位置づけだった。手術前からの「ネオアジュバント療法」はパージェタが初めてとなる。早期がんの段階で投与を開始すれば、がんの増殖を遅らせて手術による寛解率も向上できる可能性が期待される。
ロシュはFDAの新しいガイドラインに基づいて、「生存率ではなく、がんの縮小率」をエンドポイントとする小規模で迅速な臨床試験に成功して申請した。評価基準については、「寛解」は従来のCR (Complete Remission) ではなく、新しくpCR (pathologic-病理学的- complete response)を用いて39%を達成。ハーセプチン・タキソテール併用療法(pCR=22%)への追加治療として上乗せ効果を証明した。