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2021/09/02

米国下院2 委員長、FDA 長官代理にAlzheimer 治療薬ADUHELMの承認審査の情報を要求

9 月2 日、米国下院エネルギー商業委員会Frank Pallone, Jr 委員長と下院監査政府改革委員会のCarolyn B. Maloney 委員長が、連名でFDA 長官代理Dr. Janet Woodcock 宛てに、BiogenのAlzheimer 病治療薬ADUHELM(aducanumab)の承認審査手順および加速承認の認可に関する情報の提出を求める書簡を9 月1 日付で送付したことを公表した。両委員長は、書簡の中で、ADUHELM の審査に関わるFDA の審査のプロセスに認められる明らかな異常な結論に懸念を抱いている」と述べている。

1. 両委員長の懸念: 

FDA への書簡は、去る7 月のBiogen へのADUHELM の承認情報提出要求の書館に続いて、FDA におけるADUHELM の承認プロセス、販売、および価格設定に関する両委員会が続けている調査の一部である。我々は、ADUHELM の承認審査を取り巻くFDA のプロセスに明らかな異常を懸念している。FDA は、ADUHELM の臨床上のベネフィットと加速承認経路の使用について、FDA のスタッフやFDA の末梢神経系および中枢神経系医薬品諮問委員会(PCNS 諮問委員会)のメンバーを含む専門家によって提起された懸念にもかかわらず、加速承認で認可したことである。また、医薬品の承認プロセス全体を通じて、FDA とBiogen の間で異常な調整が行われていたという報告にも懸念を示している。

2. amyloidβプラークの代替エンドポイントとしての適格性: 両委員長は、FDA とBiogenが、キャンセルされた臨床試験の事後解析から、薬剤が脳内のamyloid βプラークを正常に減少させることが示されたという主張に依存していることにも留意している。amyloid βプラークの減少とAlzheimer 病患者の認知機能低下の進行抑制との関連性は十分に確立されておらず、多くの専門家によって疑問視されている。ADUHELM の承認前は、FDA 自体は、amyloid βプラークの減少が臨床上のベネフィットをもたらす可能性のある代替エンドポイントであるとは考えておらず、薬剤の承認プロセスについて新たな追加の疑問を提起している。FDA の2021 年6 月7 日の、ADUHELM の加速承認を認可の発表に続いて、3 人のPCNS諮問委員会メンバーが抗議して辞任したことも注目している。

3. 医療・保険機関の対応:

それ以来、Cleveland Clinic 及びMount Sinai などの主要な医療センターは、ADUHELM を投与しないことを決定した。大規模な健康保険会社は、彼らの患者にADUHELM をカバーすることを拒否し、退役軍人省(VA)も、重大な有害事象のリスクと認知へのポジティブなインパクトの証拠の欠如からVA 米国国民医薬品集への追加収載をしなかった。

4. 将来への影響:

ADUHELM の承認は、Alzheimer 病の患者だけでなく、高齢者、連邦医療プログラム、Alzheimer 病やその他の疾病の治療薬の将来の研究、開発、承認にも広範囲にわたり影響を及ぼすことが懸念される。米国の人々がFDA と承認された薬の安全性と有効性に最大限の信頼を持ち続けることを保証し、将来の法律作成に情報を提供するために、ADUHELM を審査し承認したFDA のプロセスに関する詳細な情報が必要である。

5. Biogen とFDA スタッフとの関係: 

書簡の中で、両委員長は、医薬品の承認プロセス全体にわたるFDA とBiogen の間の非定型的な調整の報告について懸念を表明し、FDA とBiogen の間の相互作用は、医薬品開発中のスポンサーとFDA スタッフの関与に関するFDA独自のガイダンスに反している可能性があることを示している。7 月にFDA は、保健福祉省の監察総監室(HHS OIG)にFDA とBiogen の間の相互作用を調査するよう要求し、8 月にHHS OIG は、FDA と外部組織との相互作用とFDA の加速承認経路の実施方法を検討すると発表した。

6. FDA への要求:

両委員長は、透明性の向上のためのこれらの努力を称賛する一方で、明確な説明が今必要であり、アメリカ人、特にAlzheimer 病患者とその介護者は、OIG レポートが2023 年に完成する予定なので、それまで待つことは到底できないことも強調した。従って、両委員長は、FDA が2021 年9 月16 日までに以下を含む重要な情報を委員会に提出することを要求した。

1) ADUHELM が加速承認の基準を満たしているというFDA の決定を、PCNS 諮問委員会、FDA の生物統計局の内部専門家、および米国最大の医療センターと保険会社の一部の見解とどのように調整するか説明すること。ADUHELM の安全性と有効性に関するデータが不十分である。

2) FDA スタッフが関連する諮問委員会と意見の相違がある場合、および/または関連するFDA の専門家である審査官の間で、内部の意見に相違がある場合に、承認の決定を行うためのFDA のプロセスまたは関連ポリシー(ADUHELM の承認がこのプロセスから逸脱したかどうかに関する情報を含む)。

3) FDA がADUHELM の加速承認経路の使用の可能性について、庁内およびBiogen と最初に話し合った時期と、そのような話し合いへの参加者の詳細。

4) ADUHELM の承認に関係したFDA 職員とBiogen の間の相互作用に関する内部機関による調査または評価に関連する文書。

5) 臨床試験で評価された病期よりも幅広い効能を承認し、承認後にADUHELM のラベルの一変申請で効能の限定を承認するためのFDA の内部協議およびそのプロセスに関わる文書。

6) FDA とBiogen の代表者との間のすべての公式および非公式の会話と会議のリスト、および2018 年1 月以降のそれらの会話に関連するコミュニケーションを含むすべての文書、およびそのような会議がFDA のBest Practices に沿って記載されなかった理由の説明。

7) ADUHELM の承認書記載の加速承認の確認試験提出期限の設定について;FDA が最初にADUHELM の市販後第4 相試験についてBiogen と協議をした期日はいつか?市販後試験提出期限とした9 年間(2029 年8 月)のタイムラインはどのようにして合意されたのか、そして、深刻な疾病の治療法開発を目指す迅速プログラムの-医薬品(Subpart E)と生物薬品(Subpart H)に定められたFDA 独自のガイダンスを満たしているか?検証試験の最終プロトコルの提出が2022 年8 月で、迅速プログラムの方針に適合しておらず、臨床上のベネフィットを検証する確認試験を迅速に実施させるか?(完)

(主な出典:Chairs Pallone and Maloney Request Answers from FDA on the Approval Process for Alzheimer’s Drug Aduhelm | Democrats, Energy and Commerce Committee (house.gov)他)

FDA、細胞・組織・遺伝子治療諮問委員会にAAV による遺伝子治療の安全性の審議を要請

9 月2 日~3 日、FDA の組織・先端医療部(OTAT)は、細胞・組織・遺伝子治療諮問委員会(CTGTAC)に対して、AAV(adeno 随伴virus)をvector に使用している遺伝子治療の安全性について、報告されている重篤な有害事象としての肝毒性、血栓性微小血管症(TMA)、神経毒性の後根神経節、脳のMRI 所見などについて、AAV の関与の可能性、事前の予測や防止法など多角的な見解を求める機会を設定した。この2 日間にわたる同諮問委員会の開催は7 月26 日発行のFederal Register に予告されていた。

1. AAV 遺伝子治療安全性対策:

2017 年承認の網膜ジストロフィー治療薬voretigene neparvovec-rzy(LUXTURNA) と2019 年承認の脊髄性筋萎縮症治療薬onasemnogene abeparvovec-xioi (ZOLGENSMA)は何れもNovartis の製品である。審議結果の詳細は不明であるが、最終的には、現時点においては、前臨床データから、ヒトへの重篤な有害事象を予測、あるいは予防策を検討するには、マウスなど動物モデルに問題があり、現在までに集積されたデータでは推奨すべき動物モデルの選択は困難で限界があるとの見解を集約したとRAPS のDaily Newsletter、あるいはFierce Pharm が報じている。

2. FDA が関心を持つAAV 遺伝子治療のプロファイル:

FDA が諮問委員会に提示した質問あるいは議論の要望と質問事項の概要を以下に略記する。

1) 第1 日(9 月2 日) 

Session 1:vector 導入と発癌性のリスク
(1) AAV vector を介した発癌性のリスクの特徴づけと前臨床試験のモデルとデザインに対する推奨事項、および今後の治療患者の生涯、死後の評価を含むフォローアップの期間等。(2) AAV を介したvector genome の持続性、vector の導入と発癌リスクへの影響、治療患者の年齢、既存の肝臓の状態(B 型あるいはC 型肝炎virus 感染状態など)、高用量vector 等、AAV を介した発癌に関するベネフィットリスクの評価で考慮すべき事項。(3) 発癌のリスクの検討。臨床試験に含めるべき安全監視ツール、治療患者に対する長期フォローアップの期間、頻度、および方法に関する推奨事項。(4) vector のデザイン、導入法と発癌性、製造工程において生成するDNA 関連不純物を運ぶ可能性があるため、非vector DNA の潜在的な導入により発癌のリスクを評価するための研究方法の推奨方法。

Session 2:肝毒性  
(1) 肝毒性のリスクを特徴づけるための動物実験の限界について、動物種/疾患モデル、生後および死後の評価などの前臨床試験のデザインへの推奨事項。(2) AAV vector 投与前に、肝障害を発症している症例のリスクに基づいて、患者のスクリーニング法や分類法の必要性。既存の肝状態から重篤な肝障害のリスクを予測する可能性。(3) .全身投与のvector 投与量を決定するために、体重以外にどのような要因(例えば、疾患の重症度のレベル)を考慮する必要性。(4) .高用量のAAV vector を用いた臨床試験で観察された肝毒性のリスクを考慮して、被験者あたりの総vector ゲノム量に上限を設定すべきか、また、多くのAAV 製品にはかなりの量の空のキャプシドが含まれるため、キャプシドの総投与用量に上限を設定する必要性。

2) 第2 日(9 月3 日)

 Session 3::血栓性微小血管症(TMA)
(1) .AAV vector 投与後のTMA のリスクを高める可能性のある要因。(2) . AAV vector を介したTMA のリスクを予防または軽減するために、AAV vector 投与の前および/または後に実施できる対策に関する推奨事項。(3) 高用量のAAV vector を用いた臨床試験で観察されたTMA のリスクを考慮して、被験者あたりの総vector ゲノム量に上限を設定すべきか否か。多くのAAV 製品には大量の空のキャプシドが含まれているため、キャプシドの総投与用量に上限を設定する必要性。

Session 4:神経毒性における後根神経節(DRG)毒性 
(1) 公開されたデータに基づいて、ヒト以外の霊長類のDRG 毒性の症例とヒト被験者との関連性についての議論。DRG 毒性のさらなる特性評価に寄与する可能性のある、/疾患動物モデル、年齢、生涯および死後の評価、追跡期間、投与後などの前臨床試験のデザイン。(2) .定期的な神経学的検査に加えて、臨床試験におけるDRG 毒性のリスクを軽減するための方法。

Session 5:神経毒性における脳磁気共鳴画像法(MRI)の所見
(1) AAV vector の実質内投与後の神経毒性のリスクを特定し、さらに特徴づけるために、前臨床の生涯および死後の評価(行動および神経病理学的評価など)および追跡期間、投与後の推奨事項。中枢神経系の損傷のリスクを防止または軽減するために、vector 投与の前後に実施できる対策。(完)

(主な出典:https://www.fda.gov/media/151872/download 他)

2021/08/18

COVID-19 Vaccine 3 回目接種(Booster Shot)に関しHHS 公衆衛生及び医療専門家が共同声明

8 月18 日、本日、米国保健福祉省(HHS)に所属する公衆衛生・医療関連機関の専門家のトップが、米国民向けにCOVID-19 Vaccine の3 回目の接種(Booster Shots)に関する政府の計画について以下のような共同声明を発表した。

1. 共同声明

米国疾病予防管理センター(CDC)所長Dr. Rochelle Walensky、FDA 長官代理Dr.Janet Woodcock、公衆衛生局長官Dr. Vivek Murthy、NIH 所長Dr. Francis Collins、Joe Biden 大統領Chief Medical Advisor 兼国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長Dr. Anthony Fauc、保健担当次官補Dr. Rachel Levine。 COVID-19 Response 最高科学責任者Dr. David Kessler、COVID-19 健康格差Task Force 議長Marcella Nunez-Smith 氏の8 人による共同声明である。

2. 共同声明内容

1) vaccine の有効期間の解析; 米国で使用が認可されたCOVID-19 Vaccine は、広く流行しているδ変異株に対しても、重症化、入院、および死亡のリスクの抑制に引き続き有効であることを示している。多くのvaccine が時間の経過とともに予防効果が低下することを認識しており、長期的な予防効果を得るためには、追加のvaccine 接種が必要になる可能性があり、これがどのくらいの期間か有効な予防期間か、その予防効果を最大化することができるかを米国および世界中の科学データを収集し精査した。

2) 解析結果; 入手可能なデータの解析によると、δ変異株の流行が優勢になるにつれて、軽症および中等症のSARS-CoV-2 感染に対する防御効果が、vaccine の初回投与後に時間経過とともに減少し始めることを明確に示している。我々の最新の評価に基づくと、重症化、入院、および死亡に対する現在の予防効果は、特にリスクが高いか、あるいはvaccine 接種プログラムの初期段階でvaccine 接種を受けた人々では、今後数カ月で減少する可能性がある。そのため、vaccine の防御効果を最大化し、持続性の延長には3 回目の接種が必要と結論付けた。

3. 今後の米国での予定

FDA はPfizer とModerna のmRNA vaccine の3 回目の投与の安全性と有効性を独自に評価・判定し、CDC の予防接種実施諮問委員会(ACIP)は、証拠の徹底的な精査に基づいてBooster shots の実施を勧告し、今秋から3 回目の接種を開始する計画を立てた。9 月20 日の週から、個人の2 回目の接種から8 カ月経過した、すべてのアメリカ人にBooster Shots を提供できるように準備している。その時点で、多くの医療提供者、ナーシングホームの居住者、および他の高齢者を含む、予防接種計画で最も早く完全予防接種を受けた個人は、Booster shots の対象となる可能性がある。また、2020 年にvaccine の初公開の早い段階で、この集団にvaccine を配布したように、COVID-19 が彼らにもたらすリスクが継続的に高まっていることを考慮して、先ず介護施設の居住者とその他の高齢者に直接Booster Shots を提供する取り組みを開始する。また、Johnson & Johnson/(JNJ )Vaccine を接種した人にもBooster Shots は必要になると予想される。ただ J&J Vaccine の接種は、2021 年3 月まで米国で開始されておらず、今後数週間の間にJ&J に関するデータが増えると予想される。我々の最優先事項は、virus の先を行き、特に絶えず変化するvirus と疫学的競合の中で、安全で効果的で持続するvaccine でアメリカ人をCOVID-19 から保護し続けることにある。我々は、日々、科学をフォローし、それを必要とする新しいデータが出現した場合にこの計画を修正する体制は常にできている。(完)

(主な出典:https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/joint-statement-hhs-public-health-and-medical-experts-covid-19-booster-shots他)

2021/08/10

FDA、COVID-19 感染陽性者の進行予防法としてREGEN-COV 抗体療法のEUA 改定認可

8 月10 日、FDA は、REGEN-COV(casirivimab & imdevimab,同時投与)の緊急使用許可(EUA)を改訂し、入院や死亡を含む重度のCOVID-19 に進行するリスクの高い成人および小児(12歳以上、体重40 kg 以上)におけるCOVID-19 の感染後の進行防止用としての緊急使用を承認したと発表した。

1. REGEN-COV のEUA 効能拡大

1) 従来の効能;SARS-CoV-2 virus の曝露前に、予防用としては承認されていない。REGEN-COV は、直接SARS-CoV-2 virus 検査結果陽性で、入院や死亡を含む重症のCOVID-19 に進行するリスクの高い、成人および小児(12 歳以上、体重40 kg 以上)の軽症から中等症のCOVID-19 の治療にも引き続き認可されている。REGENCOVによる予防は、COVID-19 に対するvaccine 接種の代わりにはならない

2) 追加効能;REGEN-COV は、入院または死亡を含む重症COVID-19 への進行のリスクが高い、完全なvaccine 接種がなされていない、または完全なSARS-CoV-2 vacine 接種に対して適切な免疫応答が期待し難い(例えば、免疫抑制剤使用者を含む免疫不全状態の人)成人および小児(12 歳以上、体重40 kg 以上)の曝露後予防として、および疾病管理予防センター(CDC)の濃厚接触基準に一致するSARS-CoV 感染者に接触した、または同じ施設(例えば、養護施設や刑務所)で、他の個人のSARS-CoV-2 感染が発生したためにSARS-CoV-2 の感染のリスクの高い人にのみ使用可能である。完全なvaccine 接種とは、一般に、2 回接種シリーズ(Pfizer vaccine またはModerna vaccine)の2 回目の接種から2 週間後、または1 回接種 vaccine(Janssen vaccine)の2 週間後に完全vaccine 接種を受けたと見なされる。 CDC の濃厚接触者の基準は、感染者(臨床検査室で確認された、または臨床的に適合性のある感染症状が確認された)から、6 feet 以内に24 時間にわたって合計15 分以上いた人と定義している。COVID-19 の曝露後予防のためのEUA の再発行の根拠は、第3 相試験の主要データである。

2. EUA 効能拡大の根拠

1) 有効性;本試験は、SARS-CoV-2 感染者の家庭内接触におけるCOVID-19の予防のためのREGEN-COVの単回投与を評価する無作為化、二重盲検、placebo対照臨床試験であった。症例は、COVID-19 を検出、追跡、および評価するための最も正確な検査方法の1 つである、RT-PCR を使用して確認された。ベースラインで、RT-PCR 陰性および血清(抗体)陰性症例では、29 日後のplacebo 群と比較して、REGEN-COV 群で、確認された症候性COVID-19 症例が81%減少した。試験集団全体では、29 日目のplacebo 群と比較して、REGEN-COV 群でRT-PCR により確認された症候性COVID-19 症例は62%減少した。

2) 安全性;最も一般的な副作用は注射部位反応であった。REGEN-COV 群の被験者の少なくとも1%に発生した注射部位反応の兆候と症状は、皮膚の発赤(紅斑)、そう痒症を引き起こす不快で刺激的な感覚、および斑状出血であった。重度の過敏反応は報告されていない。

3. 用法用量

治療と曝露後の予防の両方に対するREGEN-COV の承認用量は、casirivimab 600 mg とimdevimab 600 mg の同時投与である。治療には、静脈内インフュージョンを強く推奨する。皮下注は、静脈内注入の実施が不可能で、治療の遅延につながる可能性がある場合の代替投与経路として許可されている。曝露後予防には、静脈内注入または皮下注のいずれかが適切である。(完)

(主な出典:https://www.fda.gov/drugs/drug-safety-and-availability/fda-authorizes-regen-cov-monoclonal-antibody-therapy-post-exposure-prophylaxis-prevention-covid-19他)

2021/07/09

Biogen/エーザイが開発したADUHELMの承認に関する監察総監室調査

7 月9 日、FDA 長官代理Dr. Janet Woodcock が、FDA の上部組織の連邦保健福祉省(DHHS)の監査総監室総監代理(Acting Inspector General ) Ms. Christi A. Grimm 宛てに、Biogen が申請したアルツハイマー病(AD)治療薬ADUHELM(aducanumab)のFDA 承認に関して、独立組織として調査するように要請したと自身のブログに要請文書を公開した。

1. 背景

Biogen とエーザイが共同で、初期の軽症AD の進行抑制を評価項目として実施した2 本の同一のプロトコルからなる試験で、1 本は有効、他の1 本は無効のデータを基に、Biogen がaducanumab(ADUHELM)のBLA を提出した。2020 年11 月にFDA 諮問委員会にBLA の審議を要請、審議の結果、有効性の証明が不十分として承認に不賛成10 人、保留1人とほぼ全会一致に近い状態で承認すべきでないと結論した。しかし、FDA の神経薬審査部門は6 月7 日に、臨床効果ではなく代替評価項目として学会として完全に認知されていないバイオマーカーのamyloidβの低下のみを評価して、AD 病の治療という臨床試験の患者集団とは異なる極めて広い効能で承認し、しかも効果不十分さをカバーするために加速承認制度を適用させ、2030 年までに臨床上の有効性を確認する承認を認可した。このFDA の決定を受けて諮問委員会のメンバーが辞任、上院議員がBiden 大統領あてにFDA 長官代理の辞任要求が出されるなど混乱を生じている。市民団体のPublic Citizen もこの承認に抗議している。

2. FDA 一変申請承認

7 月7 日、FDA は、ADUHELM の効能に、治療は、臨床試験において治療開始の対象としたAD による軽症認知障害または軽症AD 患者において開始することと、臨床試験の患者集団に限定する一変申請を承認した。先ず効能の範囲を縮小した。

3. 監査総監室総監代理宛書簡内容概要

1)現在、一般の関心が高まり、疑念が高まっているADUHELM 承認プロセスの中の、Biogen とFDA 代表者間の相互関係について独立した調査を実施するよう要請する。周知のように、AD の治療薬としてADUHELM(aducanumab)のBiogen のBLA の審査手順に関して、大きな注目と論争が絶えることなく続いている。これには、審査過程の段階で、Biogen とFDA のスタッフ間に何らかの相互作用があったか否かが注目されている。そのため、これらの相互作用がFDA の承認審査の基本方針と手順に矛盾をしていないかどうかを判断するために、BLA 承認の決定に至るプロセス中で、Biogen とFDA の関係者の間に相互作用があったか否かを独立に審査し評価を要請する。

2) FDA の規制対象となる製品の年間消費量は、米国民が毎年消費する金額の約4 分の1(1$当り25¢)にあたる規制を担う当局として、FDAの意思決定は広範囲にわたることか、それらの決定の中に論争につながることが生ずることは避けられないことでもある。

3) aducanumab の審査に関与したCDER のスタッフとリーダーシップの完全さと偏りのない科学に基づく意思決定へのコミットメントには大きな自信を持っているが、公式の通信手段以外による可能性を含め、審査の過程でBiogen とFDA の関係者との間の接触に懸念が指摘され続けている。FDA は、科学的完全性、バイアスのないデータの審査、およびデータに基づく規制上の決定に専念している。貴署の審査にはFDA としては全面的に協力する。この問題に対する継続的な公益を考えると、この調査を可及的早期に実施していただければ非常に役立つと考えている。(完)

(主な出典:https://www.neurologylive.com/view/fda-commissioner-janet-woodcock-independent-review-interactions-biogen-aducanumab)

2021/04/26

FDA の加速承認制度の強化策、不確実性/アクセス/革新性/薬価に関する政策改革と影響分析

4 月26 日、米国の薬価と対費用効果を評価している民間の非営利組織ICER(Institute for Clinical and Economic Review)は、Memorial Sloan Kettering 癌センター Drug Pricing Lab の研究者と協力して、「FDA の加速承認制度の強化:潜在的な政策改革とその不確実性、アクセス、革新、および薬価への影響分析」と題した、新たな白書を発表した。白書は、患者グループ、元規制当局関係者、保健支払者、ライフサイエンス企業の専門家からの意見に基づいて、不確実性、アクセス、革新性、薬価のバランスに対処するさまざまな改革の選択肢の潜在的な影響を分析した報告書である。

1. 白書の作成目的:

この白書は、加速承認経路(AAP)に内在する機会と課題の双方をより明確に理解し、AAP を前進させるために、政策立案者がAAP を強化するために検討する可能性のあるさまざまな改革の選択肢について、潜在的なリスクとベネフィットに関する分析結果を提示することを目的としている。 

2. ICER President Dr. Steven D. Pearson のコメント:

「1992 年以来、FDA の加速承認プログラムは、従来の承認手順よりも早期に、重要な新しい治療法を患者にもたらしてきた。本制度による成功は数多く、患者全体にとってのメリットはかなりのものである。しかし、課題として、FDA のAAP を指定する証拠の基準の適用に一貫性を欠いており、現在、実施されているインセンティブと手順が妥当な時間枠で高品質の確認試験を完了するには不十分であるとの懸念や批判が浮上していることも事実である。さまざまな視点にたって、患者がこれらの薬に公正にアクセスできない可能性があるという懸念も提起されており、その一例として、この手順で承認されたほとんどの新薬の有効性は、不確実でありながら、高薬価で上市されている点である。そのため、今回の白書を基に、ほぼ30 年間の経験と、AAP の現状、そしてそれを強化するために何ができるか、何が必要かを検討する良い機会である。潜在的なマイナス面がなければ、政策改革の選択肢は存在しない。白書の目標は、主要な政策の選択肢の潜在的なメリットとリスクを示すことにある。」と述べている。

3. 想定される複数の政策改革:

1) 代替評価項目(surrogate endpoints)の選択を厳格化する。2) 一貫性と証拠の標準を高めるための標準化されたAAP テンプレートを開発する。3) (承認申請に当たって)より多くの無作為化比較試験を要求する。4) AAP 療法のラベルに新しい「アラート」を作成する。5) 経済的インセンティブを確認試験の完了に結び付ける。6) 事前に決定された期日迄に確認証拠が提出されない場合、継続的な販売承認条件を変更。7) 安全性は実証されているが、患者の生活の改善を証明できない治療法に対して、公的または民間の保険の適用範囲を要求せずに、「安全性のみ」の承認とする(販売不可能か)。8) 完全に承認されるまで、強制的な連邦リベートレベルを引き上げる。9) 確認証拠が認可されるまで、限界費用で価格設定するか、発売時に完全な市場価格設定を許可し、確認試験が妥当な時間枠内に完了しない場合には限界費用の価格設定に戻す。AAP 療法の支払い要求は、契約に基づいてアウトカムに基づくこと。

4. 参考資料:同白書記載のデータ

1) 加速承認の確認試験により完全承認(標準承認)への移行状況(1992 年~2016 年)


2) 代替評価項目の評価基準

3) 2020 年加速承認品目の4 週間分の薬価:最低でも$13,364、最高は$54,144

(完)


2021/03/08

FDA の迅速プログラム、代替評価項目による加速承認後の第4 相確認試験評価結果の現状

3 月8 日、最近FDA の迅速プログラムの1 つ、加速承認の承認条件である臨床上のベネフィットの確認試験に失敗して、抗PD-1/PD-L1 抗体薬のOPDIVO、IMFINZI、KEYTRUDAが揃ってそれぞれ一つの承認効能を取り下げた。重篤な疾患の治療を目指して、開発の迅速化を図るために臨床試験の有効性評価にサロゲートエンドポイント(代替評価項目)を使用して、試験規模、試験期間を縮小して、早期の承認取得を目指す開発手順である。

1992 年にFDA は加速承認規則を制定した。これらの規則により、アンメットメディカルニーズを満たす深刻な疾病の治療藥を、代替評価項目に基づいて迅速に承認する必要があり、これにより、FDA はこれらの薬剤をより迅速に承認することができるようになった。2012 年、米国議会はFDA 安全・イノベーション法(FDASIA)を可決した。 FDASIA の901条には、連邦食品医薬品化粧品法(FD&C 法)を改正し、ファストトラック指定された医薬品の審査を迅速化し、加速承認(Accelerated Approval)における評価項目等を明確化した。また、加速承認及びファストトラックのプロセスに関するドラフトガイダンスの作成を指示している。902条にはBreakthrough Therapy 指定の創設なども組み込まれた。

2020 年12 月31 日現在、FDA は合計253 件を指定しており、領域別の内訳としては、癌領域の指定が165 件と65%を占め、その他の領域が88 件を取得している。中でも2020 年はこれまでの年間指定を大幅に凌駕し合計45 件、うち癌領域が41 件を占める異常とも思える指定件数を増加させた。2004 年以前のその他の領域の主なものは抗HIV 薬が殆どで、その時々の感染症の歴史を示している。

完全承認への移行(Convert)の有無、ならびに臨床のベネフィットを確認できずに取り下げた事例を調査した。時系列でみると2010 年以前に承認された品目の多くは既に完全承認に移行している割合が高い一方、2020 年から2016 年に承認された品目では、確認試験結果がまだ得られていない事例が多い。2010 年以前に承認された品目のうち、確認試験が未だ終了しなのか詳細は不明であるが、放置されているとすれば承認後の管理上の問題も今後浮上する可能性がある。2020 年12月末までに移行が成功した件数は125 件、未移行が112 件も残されている。

承認年.別に完全承認への移行期間(月)を2010 年以降、現在までの傾向を見ると、2010 年の97 カ月(約8年)と長期であるが、2012 年以降は短縮傾向にあり、2019 年には20 カ月を切る程に短縮されてきている。

本制度が1992年から開始されてきたが、現在までに効能の承認取り下げ件数は18 件である。直近の取り下げは、上記のように抗PD-1/PD-L1 抗体薬のOPDIVOの小細胞肺癌、IMFINZIの尿路上皮癌(膀胱癌)、KEYTRUDA の小細胞肺癌であるが、それ以前の癌領域の取り下げは、2011年のAVASTIN のHER2 陰性乳癌である。取り下げまでの期間は最長160 カ月を超える例もある。本制度を推進してきた前CDER センター長Dr. Woodcock がFDA 長官代理に昇格したことで、Follow-up の評判の悪い本制度の見直しが予想される。

2019/08/07

CMS、トランプ政権、CAR T 細胞による癌治療を全国Medicare 加入者に提供を決定と発表

Centers for Medicare & Medicaid Services (CMS)は、トランプ大統領とAzar連邦保健福祉省(DHHS)長官のリーダーシップにより、FDA が承認した、患者自身の遺伝子組み換え免疫細胞によるキメラ抗原受容体T 細胞(CAR T 細胞)療法をMedicare の対象とする決定を確認したと発表した。FDA が承認したCAR T 細胞療法は、特定の種類の癌として、非Hodgkin リンパ腫とB 細胞前駆体急性リンパ芽球性白血病の一部の患者の治療法である。
Medicare は、FDA が承認した効能について、FDA リスク評価および緩和策(REMS)に登録された医療施設で使用される場合に限って、自家CAR T 細胞療法に対する給付を行う。被験薬としてCAR T 細胞療法を使用した臨床試験におけるルーチンのコストに対して給付する基本方針に変わりない。更に、Medicare はCMS 承認のCompendium(医薬品処方指針、又は医薬品情報集)に推奨される適用外使用としてFDA 承認のCAR T 細胞療法に給付することになる。Compendium は、医学的に認められた医薬品及び生物薬品の使用を決定する際に利用される。

2018/06/18

FDA 長官、ASCO2018 年次総会で、抗癌剤の審査方法の試行プログラムや薬価抑制策を紹介(6月2日)

シカゴ で開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2018)で、抗癌剤開発に関して現在FDA が取り組んでいる施策として以下を紹介した。
(1)精密医療の推進に関して、ALK 遺伝子融合、EGFR 突然変異、マイクロサテライト不安定性またはミスマッチ修復欠損などの分子異常に基づく抗癌剤開発が注目される。
(2)科学技術における新薬開発の機会を活用するために、審査手順を創出する必要がある。FDA は既に、複数の分野に分かれている抗癌剤の承認審査を統合したOncology Center of Excellence(OCE)を設立している。
(3)2017 年には、2 つのCAR-T 細胞療法を含む16 の新規抗癌剤を承認し、更に、2 つのバイオシミラー含む30 の新効能を追加承認した。
(4)ミクロサテライト不安定性の評価を利用することにより、癌種横断的治療薬開発が可能になった。
(5)抗癌剤のトランスレーショナルリサーチの重要性を理解したうえで、開発期間を如何に短縮して患者に届けるか、CDER を中心に規制面での合理化に取り組んでいる。
(6)OCE を中心に、新しい審査プロセスとしてパイロットプログラムreal-time oncology review (RTOR)を、既に承認された抗癌剤の効能拡大の申請の多くに適用している。
(7)薬剤費の削減に関しては、医薬品販売の独占期間を短縮して、後続医薬品を市場に登場させ競合状態を高めることもコスト削減策の1 つと考えられる。

2016/12/19

PARP阻害剤ルブラカ(RUBRACA)を進行卵巣癌の治療薬としてFDAが加速承認

 FDAはClovis Oncology, Inc.が開発したPARP阻害剤RUBRACA(一般名:rucaparib)を、「化学療法による治療歴(2~3回)があり、FDAが承認するコンパニオン診断法でBRCA遺伝子病的変異が認められた進行卵巣癌」を適応症として承認した。RUBRACAは画期的治療法(BTD)および希少病薬の指定を受け、優先審査、審査費用の割引、上市後の独占期間延長、などの優遇策による支援を受けている。なお、FDAが同時に承認したFoundation Focus CDxBRCA コンパニオン診断法は、次世代シーケンシング(NGS)を用いた初のコンパニオン診断法である。
 2回以上の化学療法歴のあるBRCA変異陽性の進行卵巣癌患者106人を登録した2本のシングルアーム臨床試験において、奏効率(ORR:主要評価項目)は54%、奏効期間の中央値は9.2 ヵ月であった。米国国立癌研究所(NCI)は、2016年に22,280人の女性が新たに卵巣癌と診断され、14,240人が本疾患で死亡していると推定している。卵巣癌患者の約15~20%にBRCA遺伝子の変異が認められる。

参考:
 PARP阻害剤は、BRCA遺伝子が損傷しているがん細胞のDNA修復を阻害し、腫瘍の生育を減速・停止し、最終的に細胞死をもたらす。アストラゼネカが販売するオラパリブ(製品名Lynparza)は卵巣がん治療薬として2014年末に欧米同時に承認された。TESARO社が申請中のニラパリブ(niraparib)は卵巣がんで無増悪生存期間(PFS)を21か月へと4倍近く延長し、TESAROの株価は1年間で3倍となった。
 BRCA遺伝子の変異は卵巣がんの他にも乳がん、前立腺がんでも確認されている。ヤンセン(J&J)はニラパリブを導入して前立腺がん治療薬として開発中。アッヴィが開発中のベリパリブは非小細胞肺がんを対象にカルボプラチン、パクリタキセルなど化学療法剤および放射線との併用療法としてFDAのオーファン指定を受けている。

Link 新薬開発➜婦人科がん ➔PARP阻害剤

2013/09/13

ロシュの抗体医薬パージェタに早期乳がん適応症の追加をFDA諮問委員会が勧告

乳がん治療薬パージェタは「手術不能、転移、再発」など、HER2陽性の後期がん患者を対象として米国で昨年6月、欧州で今年3月に承認された。日本でも今年6月に承認され、9月に発売されたばかり。FDAの最終決定は10月31日の予定だが、早期がんへの適応拡大が発売後1年あまりで加速承認となれば歴史的な快挙となる。同じくロシュ(ジェネンテック)が開発した抗HER2抗体の乳がん治療薬ハーセプチンの場合は1998年に世界初のテーラーメード医薬として承認され、早期がんへの適応拡大は8年後の2006年だった。 乳がんでは外科治療が第1選択として確立しており、抗がん剤は術後アジュバント(補助)療法の位置づけだった。手術前からの「ネオアジュバント療法」はパージェタが初めてとなる。早期がんの段階で投与を開始すれば、がんの増殖を遅らせて手術による寛解率も向上できる可能性が期待される。 ロシュはFDAの新しいガイドラインに基づいて、「生存率ではなく、がんの縮小率」をエンドポイントとする小規模で迅速な臨床試験に成功して申請した。評価基準については、「寛解」は従来のCR (Complete Remission) ではなく、新しくpCR (pathologic-病理学的- complete response)を用いて39%を達成。ハーセプチン・タキソテール併用療法(pCR=22%)への追加治療として上乗せ効果を証明した。