ZONTIVITY(一般名=vorapaxar)はfirst-in-class のPAR-1 拮抗剤。プロテアーゼ活性化受容体(PAR)-1に拮抗してトロンビンによる血小板の活性化を阻害する錠剤である。
「心筋梗塞(MI)または末梢動脈疾患(PAD)の既往患者」における「血栓性心血管系イベントの抑制」を適応症とした。「生命に関わる、または致死的出血を含む出血リスクを増加させる」、というBlack Box Warningは他の抗血小板剤と同様。➔FDA発表
2014 年1 月15 日のFDAの心血管系・腎臓薬諮問委員会(CRDAC)は「心筋梗塞の既往歴はあるが脳卒中や一過性虚血性発作(TIA)の既往歴の無い」患者における「アテローム血栓性イベントの予防」の申請効能について審議し、賛成10、反対1 で承認を勧告していた。
PAR メルクが490 億ドル(5兆円)を費やしたSchering-Plough買収(2009年)において、開発パイプラインでもっとも注目された品目の1 つだった。しかし、ピーク時年商として50 億ドル(5000億円)との予想に反して、臨床試験は期待通りに進まなかった。
2011 年1 月には症例数1万3000例を目標としていた大規模の「TRACER 試験」を中止。「TRA-2P 試験」は脳卒中既往患者への投与を中止して冠動脈疾患(CAD)の既往患者への投薬だけを継続し、規模を縮小した。
2012 年8 月のACC学会 でTRA 2P-TIMI 50 試験を報告し、脳卒中または一過性虚血性心臓発作の既往歴の無い心筋梗塞既往患者のサブ解析結果に基づいて2013 年に欧米への承認申請を行うと発表していた。