2014/09/24

大塚製薬/ルンドベック共同開発のブレクスピプラゾールのNDA申請をFDAが受理

ブレクスピプラゾール(OPC-34712)は、大塚製薬が自社研究所で創製し、ルンドベック社(デンマーク)と共同開発中の新規抗精神病薬である。ドパミンD2受容体及びセロトニン5HT1A受容体に結合してパーシャルアゴニストとして作用し、また、セロトニン5HT2A受容体およびノルアドレナリンα1B/2C受容体にはアンタゴニストとして働く SDAM(セロトニン ドパミン アクティビティ モデュレーター)と呼ばれる新しい作用機序を有する。

「統合失調症」と「大うつ病補助療法」の適応での承認申請を米国FDAが受理した。申請の根拠となったのは3本の統合失調症試験と4本の大うつ病補助療法試験である。これらの試験で、計5,000人以上の患者がブレクスピプラゾールの投与を受けた。

統合失調症患者を対象とした第3相試験では、6 週目の陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の総得点におけるベースラインからの変化量について、プラセボ群と比較して有意な改善が得られた(p<0.005)。

既存の抗うつ薬が十分な改善効果を示さない大うつ病成人患者を対象とした第3相試験では、6 週目のモントゴメリー / アスベルグうつ病評価尺度(MADRS、Montgomery–Åsberg Depression Rating Scale)総得点のベースラインからの変化量において、プラセボと比較して有意な改善効果が認められた(p<0.005)。

(参考)

 大塚製薬とルンドベック社は、大塚が創製した「エビリファイ メンテナ」とブレクスピプラゾール、およびLu AE58054」を含むルンドベックの創製品3剤について、2011年11月に共同開発と商業化に関する提携契約を締結した。エビリファイ メンテナは、2013年3月に米国で発売され、同年11月には欧州で承認を得ている。

 「エビリファイ」は米国特許が2015年4月で満了となるが、大塚製薬と大鵬薬品を統合する大塚ホールディングスの最大製品であり、昨年度(2014年3月期)は連結売上高1兆4530億円の40%を占める5,750億円を売上げた。そのほとんど(80%、4,550億円)を米国市場で売上げている。

 ブレクスピプラゾールはエビリファイ(一般名アリピプラゾール)の後継品として大塚グループの将来を左右する重要な製品である。NDA申請は7月14日付で「提出」していたがFDAの「受理」に2ヶ月半を要した。PDUFAに基づく審査期限は2015年7月となり、発売はエビリファイ後発品の市場参入から半年近く遅れる見通しである。

 発売時にはジェネリックの「アリピプラゾール」が最大のライバルとなりそうな状況である。これまでに自社で積み上げてきたアリピプラゾールの実績に対抗するには、SDAM(セロトニン ドパミン アクティビティ モデュレーター)という新しい作用機序が広く認知されるかどうかが重要な鍵となりそうだ。