欧州医薬品庁(EMA)の運営委員会は、「販売承認申請に含まれる臨床試験報告書を、当該申請に係る審査結果が決定され次第、可及的早期に文書として一般に公開する」という画期的なポリシーを全会一致で採択した。この新ポリシーは2015年1月1日に発効し、臨床試験報告書を一般読者がパソコンのスクリーン上で閲覧、検索、ダウンロード、印刷、保存できるようになる。ただし、商業目的に使用することは禁止される。
今回のポリシーの発効により、臨床試験報告書へのアクセスが容易になり、当局の意思決定が一般にも理解されて承認申請審査に対する信頼性が高まるものと考えられる。アカデミアや企業の研究者がデータセットを見直すことが可能になり、臨床試験の重複を避け、革新性が高まることから、新薬開発の促進につながると期待される。
既承認医薬品の剤形追加や効能追加に関しては、2015年7月1日以降に提出された申請にかかわる臨床試験報告書へのアクセスを認める方針である。また、将来的には個々の患者データについても入手できるようにすることを計画している。そのためには法的および技術的問題の解決が必要であり、特に患者のプライバシーが適切に保護されることが最も重要な課題である。