2015/02/13

エーザイの甲状腺癌治療薬レンビマをFDAが優先審査で承認

 FDAはエーザイの分子標的薬レンバチニブ(lenvatinib:商品名レンビマLENVIMA)を「放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺癌」(RR-DTC)の治療薬として承認した。優先審査(8ケ月)のユーザーフィー・ゴール4月4日をさらに約2ヵ月前倒ししての早期承認となった。本剤は、VEGFR2とのX線結晶構造解析から新たな結合様式(Type V)を有することが確認された最初の薬剤で、素早く強力なキナーゼ阻害作用を示すことが確認されている。
 レンビマは経口投与が可能であり、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)のVEGFR1(FLT1)、VEGFR2(KDR)、VEGFR3(FLT4)をはじめ、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、および血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの、腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼ(RTK)に対する選択的阻害活性を有している。
 米国では62,980人が甲状腺癌と診断され、2014年には1,890人が死亡している。レンビマの承認は、RR-DTC患者を対象とした第3相SELECT試験の結果を根拠としている。392例の進行性RR-DTCを対象としたSELECT試験では、PFS中央値はプラセボ群3.6ヵ月vsレンビマ群18.3ヵ月(p<0.001)、奏効率はプラセボ群1.5%vsレンビマ群64.8%(p<0.001)で、さらにレンビマ群では4例(1.5%)のCR(complete remission、寛解)が確認された。FiercePharmaによると、レンビマは2020年には10億ドル超のブロックバスター製品になると期待されている。

[参考]
 日本では、2014年6月に甲状腺癌の適応で申請されている。また、肝細胞癌、腎細胞癌、非小細胞肺癌、子宮内膜癌などを対象とした臨床試験が進行中である。