独メルクの医薬品部門メルクセローノとSysmex Inostics(ドイツ、ハンブルグ)は、初のリキッド・バイオプシーによるRASバイオマーカー検査センターを開設した。両社は、2014年6月に(転移性)結腸・直腸癌の血液バイオマーカー RAS変異診断法の開発および商品化に関する契約を締結している。リキッド・バイオプシーのRASバイオマーカー検査は、結腸・直腸癌の個別化治療の推進に寄与するものと期待されている。
今回、リキッド・バイオプシー検査センターが開設されたのは、スペイン、バルセロナのVall d’Hebron癌研究所内である。今後数ヵ月以内に、リキッド・バイオプシーによるRASバイオマーカー検査のECにおける承認(CE mark)が実現されると予測されており、そうなれば、2015年中にはオーストリア、フランス、ドイツ、イタリア、英国など、多くの臨床検査施設で使用されるようになる。
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リキッド・バイオプシーとは、手術による組織の摘出や、生検(バイオプシー)を行わずに、循環血液中に存在する癌細胞由来のDNAや、癌細胞を検査する方法で、侵襲性が低く簡便なことが利点である。検査結果が得られるまでの期間は2~3日に短縮されると期待される。
K-ras遺伝子変異陰性(野生型)の大腸がんに対する治療薬としてEGFR阻害剤Erbituxを販売するブリストルマイヤーズは米国を中心に2014年に7億ドル(800億円)を売上げた。独メルクは米国外で販売しており、2013年の売上高は9億ユーロ(1200億円)だった。