適応症は、「安静時の心拍数が70拍/分(bpm)以上」の、「βブロッカー(最大耐用量)を使用中」あるいは「βブロッカーが禁忌で、かつ左室駆出率が35%以下」の、「安定した症候性慢性心不全患者」における、「心不全の悪化による入院リスクの低減」、である。
イバブラジンは、Ifチャネルを選択的に阻害して、心洞結節の自発ペースメーカー活性を抑制する。心臓ペースメーカーの役割を演じている過分極活性化環状ヌクレオチド感受性チャネルをブロックし、左室再分極および心筋収縮力には影響を及ぼさない。
承認の根拠:第3相SHIFT試験では、左室駆出率が35%以下の心不全患者6,500例を対象として、βブロッカーを含む標準療法にイバブラジンあるいはプラセボを上乗せして比較した。複合主要評価項目である心不全による入院、あるいは心血管系死の相対リスク(RRR)をイバブラジンは18%低下した。
(参考)
米国では約570万人が心不全に罹患していて、今後、さらに増加すると予測されている。米国では心不全の医療費の大部分を入院費が占めており、入院リスクの減少はコスト削減の面で期待される。