レンバチニブは希少病の甲状腺癌に対する治療薬として米国で2015年2月、欧州では2015年5月に承認された。腎細胞がんの効能については欧州では希少病指定がないため、KISPLYXという別名称で承認を受けた。米国では本年(2016年)5月に同一名で追加承認されている。
申請の根拠は、VEGF を標的にした前治療歴のある、切除不能進行性または転移性腎細胞癌患者を対象にした多施設、国際共同、無作為化、非盲検、第2 相試験(205 試験)である。レンバチニブ/エベロリムス併用群、レンバチニブ単剤群、エベロリムス単剤群の 3 群に、153名の患者を1:1:1に無作為に割り付け、有効性と安全性を比較した。
レンバチニブ/エベロリムス併用群は主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した [併用群14.6 ヵ月vs. エベロリムス単剤群5.5 ヵ月(中央値)、ハザード比(HR)= 0.40;95%信頼区間(CI)= 0.24-0.68、p=0.0005]。また、レンバチニブは単剤投与群においてもPFS(中央値7.4 ヵ月)がエベロリムス単剤群(5.5 ヵ月)を有意差をもって上回った[HR=0.61(95%CI= 0.38-0.98)]。
レンバチニブの併用群および単剤群はエベロリムス群と比較して、より高い奏効率(ORR)を示した [併用群(43%)、レンバチニブ群(27%)、エベロリムス群(6%)]。また、全生存期間(OS)に関しては、2014 年12 月時点におけるアップデート解析で、併用群におけるエベロリムス群に対し延長が示唆された [HR= 0.51;(95%CI = 0.30-0.88)]。さらに、アップデート解析で、OS 中央値は、併用群25.5 ヵ月、エベロリムス群15.4 ヵ月であった [HR= 0.59(95%CI = 0.36-0.97)]。