2016/09/26

抗IL-4/IL-13抗体dupilumabの重症アトピー性皮膚炎治療薬としての承認申請をFDAが優先審査に指定

 サノフィとRegeneronが開発中の抗IL-4/IL-13抗体dupilumabについて、「管理不良の中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)の成人患者」を対象とした生物薬品承認申請(BLA)をFDAが優先審査の対象として受理、処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づく審査終了目標日は 2017年3月29 日に設定された。2014年11月にブレークスルー治療に指定されている。
 dupilumabはADの主要原因とされるTh2免疫反応を引き起こす IL-4 および IL-13 のシグナル伝達を阻害するモノクローナル抗体である。申請の根拠としたLIVERTY AD試験プログラムは「外用薬では管理が不十分な、中等度~重度のAD 成人患者」2,500例以上を対象として、dupilumab単剤療法(SOLO 1 およびSOLO 2)と外用ステロイド薬との併用療法(CHRONOS)の3本のフェーズIII試験を行った。
 
(考察)
 抗体医薬によるアレルギー性疾患治療薬の開発が進んできた。2002年に重症喘息治療薬として発売されたノバルティスの抗IgE抗体ゾレアの年間売上は500億円程度にとどまっていたが、2014年に米国などで蕁麻疹の皮膚科適応症が承認されると700億円を超えて再び増加傾向にある。古い製品だが1000億円(ビリオン・ドル)を超える「ブロックバスター」となる可能性が見えてきた。
 アトピー性皮膚炎も同様に、これまで新薬開発が進んでいない領域である。新規の薬効メカニズムでFDAのブレークスルー治療指定(BTD)、優先審査となった抗IL-4/IL-13抗体dupilumabが売上高10億ドルを超えるブロックバスターとなる可能性は大きいと思われる。

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