2016/10/24

メルク(MSD)の抗PD-1受容体抗体キートルーダの肺がん一次療法の効能追加をFDAが承認

 「EGFRまたはALK 融合遺伝子の変異の無い、転移性非小細胞肺がん(NSCLC)」で、「PD-L1発現率が50%以上」の患者への投与が承認された。PD-L1発現率に加えて「EGFRおよびALK遺伝子野生型」も対象患者の患者選定の条件とされたが、二次療法で最近承認されたテセンテリク(ロシュ)と同じ表現である。
 昨年(2015年)11月に承認されていた「PD-L1発現率1%以上の患者を対象とする二次療法」の適応症も更新され、固定用量(3週間に1回200mg投与)の使用が承認された。これまでは体重1㎏あたり2mgの用量調整が必要だった。投与間隔(3週間に1回)は従来通り。

(参考)
 今回承認された「非小細胞肺がん(NSCLC)一次療法」の効能拡大では、先行していたブリストル・マイヤーズのオプジーボがフェーズIII試験で失敗し、メルクが一番乗りを果たした。二次療法の承認はキートルーダとオプジーボが昨年(2015年)10月、ほぼ同時だった。キートルーダの一次療法は9月にsBLA申請と同時にブレークスルー治療指定、その後2か月での承認となった。
 下図は患者数が多い順に、肺がんを最上段、皮膚がんを最下段に並べて、PD-1/L1阻害剤の適応症取得状況をまとめた。注目点は、肺がんの次に市場が大きい乳がん及び大腸がんの開発状況である。キートルーダは後期臨床段階に入っており、FDAはMSI(マイクロサテライト不安定性)の転移性大腸がんを対象としてブレークスルー治療に指定している。
 抗PD-1受容体抗体に対抗する抗PD-L1抗体の臨床開発では、肺がんが先行している点も注目される。テセンテリク(ロシュ)は5月に膀胱がんで初回承認を取得し、10月には肺がん二次療法の効能追加が承認された。さらに後続の抗PD-L1抗体、アベルマブ(独メルク/ファイザー)とダーバルマブ(アストラゼネカ)の臨床試験も肺がん適応症が先行している。



Link  企業分析Merck(MSD) 新薬開発➜肺がん PD-1/L1阻害剤 市場動向➜PD-1/L1阻害剤 ➔肺がん