FDAが承認した適応症は「白金製剤ベースの化学療法、EGFR遺伝子変異陽性またはALK融合遺伝子陽性肺癌に対してFDAが承認した分子標的療法施行中または施行後に病勢が進行した転移性非小細胞肺癌(NSCLC)」。ランダム化第III相臨床試験のOAK試験と同第II相臨床試験のPOPLAR試験の成績に基づいて承認された。
大規模臨床試験のOAK 試験(各群425例)では、TECENTRIQ群における全生存期間の中央値は13.8ヵ月で、ドセタキセル群の9.6カ月と比べて4.2ヵ月の延長を示した[ハザード比(HR):0.74、95% CI:0.63-0.87]。
OAK 試験では患者のPD-L1の発現状況を問わずに、扁平上皮型および非扁平上皮型の両組織型の患者が登録された。
(参考)
TECENTRIQ(一般名:アテゾリズマブ)の初承認は本年(2016年)5月、進行性膀胱がんに対してFDAが加速承認した。免疫チェックポイント阻害剤として2014年に承認され、先行するキートルーダ(メルク)とオプジーボ(ブリストル・マイヤーズ)はいずれもPD-1受容体に対する抗体である。一方、TECENTRIQはPD-1受容体に結合するリガンドのPD-L1に対する抗体である。作用点の違いが臨床成績にどのように反映されるか、今後の注目点である。
もう一つの注目点は非小細胞肺がんの「一次療法」への効能拡大である。二次療法の承認はキートルーダとオプジーボが昨年(2015年)10月、ほぼ同時に取得している。しかし、一次療法の追加ではオプジーボが8月に臨床試験の失敗を発表する一方、キートルーダは9月にsBLA申請し、FDAのブレークスルー治療指定を獲得した。PD-L1発現による対象患者の絞り込みが成否のカギとなったようである。TECENTRIQの非小細胞肺がん一次療法はPD-L1で選別した患者を対象にフェーズIII段階にあり、ロシュは2018年の申請を予定している。