2016/10/09

ロシュの抗PD-L1抗体atezolizumabが非小細胞肺癌の第3相試験で全生存期間(OS)を 延長

 ロシュの抗PD-L1 抗体TECENTRIQ(atezolizumab)のピボタル第3相OAK試験の結果が欧州臨床腫瘍学会(ESMO2016)において発表された。OAK試験はプラチナベースの化学療法を施行中または施行後に病勢が進行した非小細胞肺癌(NSCLC)患者1,225 名を対象にTECENTRIQの有効性と安全性を化学療法剤docetaxel と比較した。対象患者はPD-L1の発現状況を問わずに登録され、ランダム化された。全ての患者(ITT集団)における全生存期間(OS)、およびPD-L1が発現している患者における全生存期間(OS)の二つを主要評価項目(PE)とした。ITT集団におけるOSの中央値はTECENTRIQ群13.8ヵ月がdocetaxel群9.6ヵ月を大きく上回った [ハザード比(HR)0.73、95%CI:0.62-0.87]。PD-L1低発現または非発現の患者群においてもハザード比0.75で統計学的に有意な生存期間の延長を示した。

(参考)
 FDAは8月末に「標準化学療法の施行中または施行後に病勢が進行したPD-L1陽性のNSCLC患者」を対象として、TECENTRIQを画期的治療薬(BT)および優先審査に指定、承認期日を10月19日としていた。早期承認および二次療法としての承認は予定通り実現している。
 二次療法効能追加の表現は、昨年(2015年)10月に承認されたオプジーボ(BMS)と同じである。PD-L1発現による制限がなく、すべてのNSCLC患者への投与が可能となった。オプジーボとほぼ同時(2015年10月)にNSCLC二次療法のFDA承認を取得したキートルーダ(メルク)には「PD-L1発現の確認」の制限がついていた。
 今後の注目点は、各社のPD-1/L1阻害剤によるNSCLC一次療法の効能追加である。メルクはKEYNOTE-024試験を成功させて本年(2016年)9月に先陣を切ってFDAへの申請(sBLA)を提出した。一方、BMSが実施したCheckMate -026試験は失敗している。

Link  企業分析Roche 新薬開発➜肺がん ➔PD-1/L1 inhibitor