武田薬品が開発したプロテアソーム阻害薬イキサゾミブ(海外製品名:NINLARO ニンラーロ)は、「少なくとも1回の前治療歴がある多発性骨髄腫(MM)患者を対象とする、レナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用療法」、として欧州委員会(EC) の条件付き承認を取得した。
ニンラーロは2016年5月度のCHMP 定例会議において、「ベネフィットを証明するデータが不足している」とされ、非承認の勧告を受けた。武田薬品の再審査請求に対して、CHMPはEU内の専門家の意見を聴取し、治療上のベネフィットは十分証明されているとの見解を受けた。そして、9月度のCHMP定例会議では条件付き販売承認の勧告となった。
ECの条件付き承認の有効期間は1年であり、申請者は承認更新の申請を毎年繰り返しながら、臨床データを収集する必要がある。最終的には一変申請(Variation Type II)を提出し、標準承認に切り替える義務がある。臨床上のベネフィットが証明されなければ承認取り消しとなる点はFDA の加速承認制度と同様である。
(参考)
武田薬品はMM市場で注射剤のプロテアソーム阻害薬ベルケイドを販売しており、2015年度のグローバル売上高は1,620億円、武田薬品にとっては3年前(2013年度)から最大製品となっている。ベルケイドの後継品となるニンラーロは注射剤から経口剤への切り替えとなり、ベルケイドを大きく上回る大型製品に成長すると期待される。米国市場では2015年11月にFDA承認を取得し、売上高は発売初年度(2015年度)40億円、2016年度上期(6カ月)は128億円だった。
MM市場の最大製品は経口投与のサリドマイド誘導体レナリドミド(製品名レブラミド、セルジーン社)である。2015年売上高は58億ドル(5800億円)となり、前年比16%の増加が続いている。