2017/01/17

米国内科学会・家庭医学会の診療ガイドラインは60 歳以上高齢者の血圧管理目標を150 mmHg に改定

 米国内科学会(ACP)および米国家庭医学会(AAFP)は、60歳以上の患者の血圧の管理目標に関する合同の診療ガイドラインを公開した。本ガイドラインは「無作為化、対照比較された臨床試験の主要評価項目および有害反応」に着目して、これまでに公表されている臨床成績データを系統的に解析した。
 評価結果は、全死亡、脳卒中関連の罹患率および死亡率、重要心イベント(致死性・非致死性心筋梗塞、突然の心臓死)、および副作用を含んでいた。本ガイドラインはエビデンスと推奨事項にGRADE(Grading of Recommendations, Assessment, Development, and Evaluation)によりその度合いに順位をつけた。推奨とGradeは以下の通り。

  • 推奨1;死亡率、脳卒中および心イベントのリスクを低減させるため、SBPを150 mm Hg 以下を治療目標として、150 mmHg 以上のSBPを示す 60歳以上の成人の治療を開始するよう勧告する。(Grade; Strong)
  • 推奨2;脳卒中の再発のリスクを軽減するために、脳卒中または一過性の虚血性心臓発作歴のある60歳以上の成人について、SBPの目標値140 mmHg以下を達成するために、薬剤療法の開始または強化を考慮するよう勧告する。(Grade: weak recommendation, moderate-quality evidence)
  • 推奨3;患者個々の状況に応じて、脳卒中あるいは心臓イベントのリスクを低減するために、高い心血管系リスクを有する60歳以上の成人に対してSBP140 mmHg以下の目標達成のために、薬剤療法を開始または強化を考慮することを勧告する。(Grade: weak recommendation, low quality evidence)