2018/01/22

CAR-T細胞療法の3番手をめざすジュノをセルジーンが買収

セルジーンがジュノ・セラピューティクスを90億ドル(1兆円)で買収 
 ジュノが開発中のCAR-T療法で最も先行していた JCAR015は急性リンパ性白血病 (ALL) を対象としたフェーズ2ROCKET試験が2016年7月に中断され、現在は同じCD19を標的とするLiso-cel(JCAR017)に切り替えて非ホジキンリンパ腫(NHL)と慢性リンパ性白血病(CLL)を対象に臨床試験が進んでいる。NHL適応症では2018年中に申請を完了し、年内の承認を期待している。さらに、CD22を標的とするJCAR018がALLを対象にP1段階、CAR Tとは別のT細胞改変技術として開発中のT細胞受容体(TCR)細胞治療 JTCR016が急性骨髄性白血病(AML)を対象にP1/2段階にある。
 セルジーンはレブラミドなどのサリドマイド系化合物の多発性骨髄腫治療薬を主力として急成長し、企業収益は2016年に100億㌦を超え、2017年は16%増加して130億ドル(1兆4000億円)に達した。その大半は82億㌦(9000億円)を売り上げる最大製品のレブラミドが占めているが、タキサン系化学療法剤アブラキサン(9.7億㌦)やDNAメチル化阻害剤ビダーザ(6.1億㌦)など、相次いで同業のバイオテク企業を傘下に収めて取得した製品の貢献も大きい。ジュノは毎年300億円前後の営業赤字を続けながら売上収入がようやく100億円に近づいてきたところである。昨年9月には140㌦に達していたセルジーンの株価は現在90ドル前後まで下落している。1兆円のM&A費用が重しとなっているような印象である。