2018/01/01

ファイザーのPARP阻害薬タラゾパリブが転移性乳がん患者の無増悪生存期間(PFS)を延長(12/8)

 タラゾパリブはPARP阻害薬として先に承認されている3つの製品(リンパルザ、ルブラカ、ゼジュラ)とは異なる開発戦略をとり、卵巣がんではなく乳がんでの初回申請を目指している。乳がんを適応症として承認されている製品はないが、アストラゼネカが提出したリンパルザの乳がん効能の追加申請(sNDA)をFDAは2017年10月に受理し、優先審査とした。
 リンパルザは初めて承認されたPARP阻害で、2014年に卵巣がん治療薬として承認され、売上高は2015年100億円、2016年230億円であった。2016年末にはクロービス社のルブラカが卵巣がんの三次療法、つづいて2017年3月にテサロ社のゼジュラが白金製剤投与後の卵巣がん患者を対象とする二次療法として承認された。フェーズ3段階にあるアッヴィのベリパリブは肺がんと乳がんを対象とした化学療法との併用試験で効果を確認できなかったことが2017年4月に報告された。
 BRCA変異陽性の転移性乳がんに対するタラゾパリブのフェーズ3試験「エムブラカ(EMBRACA)」の成績は無増悪生存期間(PFS)の中央値が8.6か月となり、プラセボ投与群(5.6か月)と比較して病勢悪化または死亡のリスクを46%改善した。FDAが審査中のリンパルザはBRCA変異陽性の転移性乳がんを対象としたフェーズ3試験「オリンピアド(OlympiAD)」において無増悪生存期間(PFS)の中央値が7.0か月となり、病勢悪化または死亡のリスクを42%改善した。
 タラゾパリブはファイザーが2016年8月に買収・統合したメディベーションが創製した。メディベーションに対するM&Aは、サノフィが2016年4月に総額1兆円での買収を提案したが、ファイザーが1兆5000億円で買収を成立させた。PARP阻害剤を中心とする開発パイプラインに対する評価が差額に反映された見られている。