2018/02/19

PD-L1阻害薬イムフィンジの非小細胞肺がん追加適応症をFDAが承認

アストラゼネカのPD-L1阻害薬イムフィンジに対して「切除不能・ステージIII 非小細胞肺がん」の追加適応症をFDAが承認。
19 February 2018 » AstraZenecaPD-1 inhibitorLung cancer
  • 承認根拠となったPACIFIC試験はアジア中心に実施され、無増悪生存期間(プラセボ5.6か月)を16.8か月へと延長し、PD-L1の状態にかかわらず、死亡もしくは病勢悪化のリスクを48%減少した。

(解説)

1.PD-1阻害剤デュルバルマブの肺がん効能追加をFDAが承認
 FDAはアストラゼネカが開発した抗PD-L1抗体デュルバルマブ(販売名:Imfinzi イムフィンジ)に対して「プラチナ製剤を用いた根治的同時化学放射線療法 (CRT) 後に病勢進行が認められなかった切除不能ステージIII非小細胞肺がん(NSCLC)」を追加適応症として承認した。承認の根拠とされたPACIFIC試験はアジアを中心に実施され、無増悪生存期間(プラセボ投与群5.6か月)を16.8か月へと11.2か月延長し、PD-L1発現の状態にかかわらず、死亡もしくは病勢悪化のリスクを48%減少した。

 先行するメルク(MSD)のPD-1阻害薬キートルーダは2017年10-12月期(4Q)に13億㌦へと前年同期比3倍近く増加し、14億㌦(4Q)だったBMSのオプジーボとほぼ並んだ。昨年5月にFDAが承認した「NSCLCに対する一般的な化学療法(pem/carbo)との併用による一次治療」の追加適応症が大きく貢献し、2017年の四半期売上は6億㌦(1Q)、9億㌦(2Q)、10億㌦(3Q)、13億㌦(4Q)と増加してきた。その間のオプジーボは11億㌦、12億㌦、13億㌦、14億㌦と1億㌦ずつの増加にとどまっている。オプジーボのNSCLC一次療法は進行がん患者を対象に単独投与で化学療法と比較したCheckMate-026試験が2016年8月に失敗した影響が大きい。その後、CTLA-4阻害による腫瘍免疫薬ヤーボイと併用したCheckMate-227試験で一応の効果を示した(2018年2月)ものの、腫瘍変異負荷(TMB)が高い患者を層別する必要があった。

 イムフィンジが今回承認された適応症は一次療法ではないものの、前治療後の病勢悪化を待たずに開始できる「維持療法」と位置付けられ、市場性は先行するキートルーダとオプジーボを上回る可能性がある。NSCLC患者の3分の1がステージIIIで患者数は日米欧の先進国市場だけで10万人にのぼる。適応症が対象とする「放射線治療後に病状が安定した切除不能・ステージIIIの肺がん患者」はさらに3分の1、3万人前後となるだろうか。それでもマルチ・ビリオンドル(数千億円)の市場規模となる。