NEC は、ヘルスケア事業強化の一環として、最先端人工知能(AI)技術群「NEC the WISE」を活用した癌等の先進的免疫療法に特化した創薬事業に本格参入すると発表した。
NEC は20 年間に渡り創薬領域におけるソリューションの開発を行ってきており、ネオアンチゲン予測システムを、公開されているデータベースと独自の実験データセットの両方によって開発してきた。この予測システムは、既に人での別の癌種の抗原の同定に利用されている。NEC は2018 年10 月に仏Transgene S.A.と固形癌の治療を目的とする、ネオアンチゲン による個別化免疫療法においてNEC のAI 予測技術と、Transgene のmyvac™ウイルスベクター技術基盤の治療能力を組み合わせて臨床評価を実施することに合意した。両社は、卵巣癌およびHPV 陰性頭頸部癌の臨床試験を含む個別化癌免疫療法の初期ステージを共同開発し、2019 年に個別化ネオアンチゲン ワクチンTG4050 の臨床試験の開始を予定している。Transgene は2019 年5 月13 日にFDA からTG4050 の卵巣癌に対するIND の許可を取得済みである。
癌患者自身が持つ潜在的な抗腫瘍能力の賦活化に関して、アミノ酸置換を伴う体細胞変異が高度になればなるほど、免疫チェックポイント阻害剤の抗PD-1 抗体あるいは抗CTLA-4 抗体による治療効果が高まるとの報告が増えている。このような遺伝子変異から生じたアミノ酸置換を有するネオアンチゲン がT 細胞の免疫応答に関与しやすい可能性を示唆する研究が増加しつつあることは注目される。