第一三共とアストラゼネカのエンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン) [DS-8201、HER2 に対する抗体薬物複合体(ADC)]について、HER2 陽性転移性胃または胃食道接合部(GEJ)腺癌の治療を効能とするsBLA が米国FDA に受理され、優先審査の指定を受けた。
申請の根拠であるDESTINY-Gastric01 試験は、HER2 陽性(IHC3 +またはIHC2+ / ISH +と定義)、ㇷルオロピリミジンおよび白金製剤化学療法とトラスツズマブを含む2 つ以上の前治療歴を有する進行胃またはGEJ 腺癌の日本と韓国の188 人の患者を対象とした1 次コホートにおいて、エンハーツの安全性と有効性を、試験担当医師が選択した化学療法と比較する第2 相、非盲検、多施設、無作為化比較試験である。
主要評価項目の独立中央評価委員会(ICR) による確定ORR は、エンハーツ群の42.9%(p <0.0001; CI:33.8-52.3)に対し、化学療法群は12.5%であった。エンハーツ 群の8.4%(n=10/119)が完全奏効(CR)、34.5%が部分奏効(PR)を達成したが、化学療法群はCR が0%、PR が12.5%であった。中間解析で、エンハーツ群は、化学療法群と比較して、死亡リスクが41%減少した[ハザード比(HR)=0.59, 95%CI; 0.39-0.88, p = 0.0097]。OS 中央値はエンハーツ群12.5 カ月に対し、化学療法群は8.4 カ月であった。 1 年の推定OS 率はエンハーツ 群52.1%、化学療法群で28.9%であった。