4 月7 日、EMA は、EMA の安全性委員会 (PRAC; Pharmacovigilance Risk Assessment Committee)は、VAXZEVRIA (COVID-19 AstraZeneca)について、総合的には、ベネフィットは引き続きリスクを上回っていることを確認し、血小板の減少を伴う異常な血栓形成をVAXZEVRIA の非常に稀な副作用としてリストすべきと結論したと発表した。PRAC は、臨時の専門家グループからの助言を含む、現在入手可能なすべてのエビデンスを調査した。
1. VAXZEVRIA:
23,000 人以上が参加した臨床試験で評価された。これらの試験で最も多く報告された副作用は、注射部位の圧痛、注射部位の痛み、頭痛、倦怠感、筋肉痛、倦怠感、発熱、悪寒、関節痛、および悪心であった。これらはそれぞれ10 人に1 人以上で報告された。副作用の大部分は軽度から中等度であり、通常はvaccine 接種から数日以内に解消した。2 回目の投与後に報告された副作用は軽度で、1 回目の投与後よりも報告頻度は低かった。副作用は一般的に軽度で、若年者よりも高齢者(65 歳以上)で報告される頻度は低かった。
2. EMA の脳静脈洞血栓症(CVST)への対応:
vaccine 接種から2 週間以内に発生する低レベルの血小板と組み合わされた非常に稀な血栓の可能性を認識し続けるように、医療専門家とvaccine 接種を受けている人々に注意を喚起している。これまでのところ、報告された症例のほとんどは、vaccine 接種から2 週間以内に60 歳未満の女性に発生している。現在入手可能なエビデンスに基づいて特定のリスク因子は確認されていない。vaccine 接種した人は、血栓と血小板減少のこの組み合わせ症状が現れた場合は、直ちに医師の診察を受ける必要がある。
3. PRAC の評価内容:
血栓が、脳の静脈 [脳静脈洞血栓症(CVST)]と腹部静脈(内臓静脈血栓症)および動脈で発生し、血小板のレベルが低く、出血することもあることに注目した。委員会は、2021 年3 月22 日現在、EU の医薬品安全性データベース(EudraVigilance)に報告された62 例の脳静脈洞血栓症と24 例の内臓静脈血栓症の詳細なレビューを行った。そのうち死亡が18 例であった。これらの報告は、主にEEA と英国の自発報告システム(Yellow Card Scheme)からのもので、約2,500 万人がvaccine の接種を受けていた。
報告されている血栓と低血小板数の組み合わせは非常に稀であり、COVID-19 の予防におけるvaccine の総合的なベネフィットは副作用のリスクを上回っている。EMA における科学的な評価は、COVID-19Vaccine の安全で効果的な使用を支援するためのものである。EU 加盟国レベルにおけるvaccine 接種キャンペーン中のvaccine の使用は、個々の加盟国におけるパンデミックな状態とvaccine の入手状況も考慮する必要がある。
4. 血栓形成への考察:
血栓形成と低血小板数の組み合わせの理解し易い解釈の1 つは免疫応答であり、heparin で治療された患者(heparin 起因性血小板減少症、HIT)に時々見られる症状と同様の症状であることが認められている。 PRAC は、より多くの情報を提供するために、現在進行中の臨床試験に対して、新しい試験研究と修正を要求し、必要なさらなる措置をとる予定である。PRAC は、迅速な専門医による治療の重要性を強調している。血栓形成と血小板の減少の兆候を認識し、早期に治療することで、医療専門家は、発症した人々の回復を助け、合併症を回避することができるとしている。