5 月8 日、第一三共とAstraZeneca は、共同開発中のTROP2 指向DXd 抗体薬物複合体(ADC)であるdatopotamab deruxtecan (Dato-DXd)の新データは、標準治療後に病勢が進行した転移性トリプルネガティブ乳癌(mTNBC)患者に対して、有望な予備的有効性と病勢管理を示したと発表した。これらの新データは、第1 相TROPION-PanTumor01 試験のTNBC コホートからの予備的データで、2021 年欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2021)乳癌バーチャル会議(ESMOBreast21)のLate-Breaking・mini 口頭発表(Abstract#LBA4)セッションで発表された。
1. 背景:
Dato-DXd は、安定したtetrapeptide ベースの切断可能なlinker を介して強力なtopoisomerase I 阻害剤のペイロード(DXd)に結合したヒト化抗TROP2 IgG1 モノクローナル抗体(mAb)を含むADC 薬である。進行中の第I 相TROPION-PanTumor01 試験(NCT03401385)の結果は、転移性(m)非小細胞肺癌(NSCLC)の高度に前治療を受けた患者におけるDato-DXd の有望な抗腫瘍活性を示した。本報告は、現在も進行中のmTNBC に対する予備的結果である。
2. 第1 相TROPION-PanTumor01 試験:
前治療歴を有する固形癌患者を対象にDato-DXd IV Q3W を評価する2 部構成からなる臨床試験である。NSCLC 患者に限定された用量漸増フェースに基づいて、この拡大フェースは、標準療法(TX)で再発/進行したmTNBC 患者に対してDato-DXd 6 mg / kg IV Q3W の用法用量を評価した。主要評価項目は安全性および忍容性、副次評価項目は、盲検下独立中央審査(BICR)によってRECISTv1.1 に準拠した奏効率(ORR)によって評価された有効性が含まれている。
3. 試験結果:
2021 年1 月8 日のデータカットオフ時点では、24 人の患者が1 回以上の投与を受けていた [6 mg/ kg、n = 22;8 mg / kg、n = 2 (6 mg / kg の用量選択前の治療)]であった。 18 人の患者(75%)はまだTX の治療を継続しており、6 人(25%)が病勢進行(PD)のため中止した。被験者の年齢の中央値は57 歳(範囲;32〜82 歳)であった。 71%の被験者が3 レジメン以上の前治療歴を有していた。前治療レジメンは、taxane(83%)、白金製剤ベースの標準療法(TX)(50%)、免疫療法(33%)、およびsacituzumab govitecan(8%)であった。有効性評価対象患者21 人(6 mg / kg;n = 19; 8 mg / kg;n = 2)のうち、BICR によるORR は43%[部分奏効(PR)が9 人]であり、5 人が確定診断、4 人が確定診断待ちである。病勢管理率(DCR)は95%(20 人/21 人)を示した。有害事象(AE)による用量減量は6 人(25%)に発生した。 AE のためにTX を中止した患者は存在しなかった。因果関係に関わり無く、グレード(Gr)およびGr ≥3 のTEAE は、それぞれ100%および33%の患者に発生した。最も一般的なTEAE[Gr (≥40%)、Gr ≥3]は、 悪心(63%、0%)、口内炎(63%、13%)、倦怠感(42%、4%)、および嘔吐(42%、0%)であった。下痢または好中球数/好中球減少症のGr ≥3 のTEAE は報告されていない。 TX 関連間質性肺炎ILD(裁定)の症例も観察されなかった。
4. 結論:
予備的な解析結果は、Dato-DXd が非常に有望な抗腫瘍活性と難治性mTNBC 患者における管理可能な安全性プロファイルを示しており、さらなる確認試験が必要である。(完)
(主な出典:https://www.daiichisankyo.co.jp/files/news/pressrelease/pdf/202105/20210510_J.pdf 他)