2021/06/25

Lilly のGIP/GLP-1アゴニストtirzepatideによる2 型糖尿病患者のA1C 低下・体重減少

 6 月25 日、Eli Lilly & Co.(Lilly)は、40 週の第3 相SURPASS-2 試験結果から、ベースラインからのHbA1c 低下および体重減少について、開発中のtirzepatide がsemaglutide 1 mg (注射薬)に対し優越性を示す結果が得られ、本日発行のNEJM 誌に掲載されると共に、第81 回米国糖尿病学会年次学術集会(ADA)のLate-Breaking Poster Session で報告したと発表した。

1. tirzepatide

2 型糖尿病治療薬として開発されているfirst-in-class の治療薬であり、glucose依存性insulin 刺激性polypeptide(GIP)とGLP-1 の両incretin の作用を単一分子に統合した新規の週1 回投与二重作用性GIP/GLP-1 受容体作動薬である。

2. 発表概要:tirzepatide の3 用量(5, 10, & 15 mg)全群にわたり、semaglutide 群に対するHbA1c低下と体重減少を示した結果は、6 月29 日のADA sponsored シンポジウムで紹介された。さらに、事前に規定された探索的複合評価項目として、HbA1c が6.5%以下に到達し、体重が10%以上減少し、かつ54 mg/dL 未満の低血糖または重症低血糖を認めなかった被験者を評価した。semaglutide 1 mg 群の22%に対し、tirzepatide の3 用量全群でそれぞれ、32%, 51%、60%の被験者が複合評価項目を達成した。tirzepatide の全体的な安全性プロファイルは、確立されたglucagon 様 peptide(GLP-1)受容体作動薬と同様であった。各投与群ともに消化器系の副作用が最も多く報告された有害事象であった。 semaglutide 1 mg はGLP-1 受容体作動薬であり、2 糖尿病治療薬としてFDA に承認されているsemaglutide の最高用量である。

3. 第3 相SURPASS-2 試験

metformin の追加療法として成人2 型糖尿病患者を対象に、tirzepatide とsemaglutide の有効性および安全性を比較した40 週間の無作為化非盲検試験である。被験者1,879 人の糖尿病の平均罹病期間は8.6 年、ベースラインのHbA1c は8.28%、体重は93.7 kg であった。有効性および治療方針estimand を用いた評価では、HbA1c 低下と体重減少についてtirzepatide、の3 用量全群のsemaglutide 1 mg 群に対する優越性が示された。

注)有効性 estimand:治験薬の投与中止または持続性重症高血糖のためのレスキュー治療を行うまでの有効性、治療方針estimand:レスキュー治療の有無に関わらず評価した有効性の評価である(完)

(主な出典:https://investor.lilly.com/news-releases/news-release-details/lillys-surpass-2-results-published-new-england-journal-medicine他)