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2021/08/31

PD-1阻害薬による尿路上皮がん(膀胱がん)の治療

 08/31, MRK, PD-1, Urothelial carcinoma

FDA Approves Updated Indication for Merck’s KEYTRUDA® (pembrolizumab) for Treatment of Certain Patients With Urothelial Carcinoma (Bladder Cancer)
  • メルクのPD-1阻害薬キートルーダ(ペムブロリズマブ)の尿路上皮がん(膀胱がん)適応症の改訂をFDAが承認した。白金製剤による治療不能となった患者に対する一次療法としての加速承認(2017年)は本承認となった。
  • (参考)FDAはPD-1阻害薬で加速承認した適応症に関する確認臨床試験の審査を進めており、尿路上皮がんではイムフィンジ(アストラゼネカ)とテセントリク(ロシュ)が自主的に適応を取り下げた。キートルーダの市販後臨床試験も失敗していたがFDA諮問委員会は5対3の僅差で承認継続を勧告した。

2021/07/23

BMS、OPDIVO 単剤のsorafenib 治療後の肝細胞癌の米国加速承認の効能を自主的取り下げ

7 月23 日、Bristol Myers Squibb(BMS)が、OPDIVO(nivolumab)の単剤療法による、sorafenib (NEXAVAR)治療後の肝細胞癌の効能の自主的取り下げについて声明を発表した。

1. BMS のステートメント

FDA と協議して、sorafenib(NEXAVAR)による前治療歴の有る肝細胞癌(HCC)患者に対するOPDIVO(nivolumab)の単剤療法の効能を自主的に米国市場から取り下げるという困難な決定を下した。この措置は、臨床上のベネフィットを確認試験で証明することが加速承認の市販後の要件であるが、これを満たしていない加速承認で取得したチェックポイント阻害剤の効能に対するFDA の業界全体にわたる評価に基づいている。この決定は、4 月開催のFDA 腫瘍薬諮問委員会(ODAC)における審議結果と、その後のFDA との協議が含まれる。HCC に対するOPDIVO の治療はYERVOY との併用療法が生きている。

2. OPDIVO のHCC 効能の経緯

本効能のsBLA は、2017 年3 月24 日に申請され、同年9月22 日に迅速承認プログラムの下で加速承認され、この設定での使用が承認された最初の免疫療法剤になった。加速承認の要件として確認臨床試験の完了が2019 年12 月、最終報告書の提出が2020 年9 月に設定された。加速承認は、第1/2 相CheckMate-040 試験における奏効率に基づいていた。1 次療法の設定でOPDIVO vs. sorafenib による無作為化確認試験としてCheckMate-459 試験を実施したが、事前に指定された主要評価項目の分析による全生存期間が統計的有意差を示すことが出来なかった。

参考 CheckMate-459 試験結果概要

本試験において、OPDIVO は予め計画された解析で、主要評価項目の全生存期間(OS)に対して統計学的に有意差を示せなかった [ハザード比(HR)= 0.85、95%CI:0.72-1.02、p=0.0752]。OPDIVO 群で新たな安全性シグナルは認められなかった。今後、本試験の詳細な結果を学会で発表する予定。CheckMate -459 試験において、OPDIVO は、予め計画された主要評価項目を達成できなかったが、今回の結果は現在の標準治療薬であるsorafenib と比較して、OPDIVO 群で OS において明確な改善傾向を示した。

参考 2021 年4 月開催の腫瘍薬諮問委員会(ODAC)による審議結果

FDA は、抗腫瘍薬における加速承認による効能に関する確認試験で、臨床上のベネフィットの検証に失敗している抗PD-1/PD-L1 抗体薬について、業界全体における審査の一環として、4 月27 日~29 日にかけて、腫瘍薬諮問委員会(ODAC)を開催して、承認の維持の可否について、OPDIVO の前治療歴の有る肝細胞癌(HCC)の患者に対する単剤療法の効能に関する審議を行った。審議の結果、本効能の承認の維持は5 票対4 票で否決された。

3. BMS 上級副社長、オンコロジー開発のヘッドJonathan Cheng 氏のコメント

「我々は、sorafenib の治療歴の有るHCC の治療薬としてのOPDIVO の単剤療法の継続的な承認に関して、ODAC とFDA が取った選択に失望している。HCC は複雑で困難な疾患であり、最初にsorafenib の治療を受け、治療に不耐か、病勢進行した患者にとって、癌免疫療法は重要な治療選択肢である。過去3 年半の間、OPDIVO の単剤療法は、医師がこのニーズに対処するために依存してきた重要な選択肢であり、現在、sorafenib 投与後の設定で最も一般的に使用されている治療法である。OPDIVO は、HCC 患者の治療法として全く新しい方法の先駆けとなった」と述べた。(完)

2021/03/08

FDA の迅速プログラム、代替評価項目による加速承認後の第4 相確認試験評価結果の現状

3 月8 日、最近FDA の迅速プログラムの1 つ、加速承認の承認条件である臨床上のベネフィットの確認試験に失敗して、抗PD-1/PD-L1 抗体薬のOPDIVO、IMFINZI、KEYTRUDAが揃ってそれぞれ一つの承認効能を取り下げた。重篤な疾患の治療を目指して、開発の迅速化を図るために臨床試験の有効性評価にサロゲートエンドポイント(代替評価項目)を使用して、試験規模、試験期間を縮小して、早期の承認取得を目指す開発手順である。

1992 年にFDA は加速承認規則を制定した。これらの規則により、アンメットメディカルニーズを満たす深刻な疾病の治療藥を、代替評価項目に基づいて迅速に承認する必要があり、これにより、FDA はこれらの薬剤をより迅速に承認することができるようになった。2012 年、米国議会はFDA 安全・イノベーション法(FDASIA)を可決した。 FDASIA の901条には、連邦食品医薬品化粧品法(FD&C 法)を改正し、ファストトラック指定された医薬品の審査を迅速化し、加速承認(Accelerated Approval)における評価項目等を明確化した。また、加速承認及びファストトラックのプロセスに関するドラフトガイダンスの作成を指示している。902条にはBreakthrough Therapy 指定の創設なども組み込まれた。

2020 年12 月31 日現在、FDA は合計253 件を指定しており、領域別の内訳としては、癌領域の指定が165 件と65%を占め、その他の領域が88 件を取得している。中でも2020 年はこれまでの年間指定を大幅に凌駕し合計45 件、うち癌領域が41 件を占める異常とも思える指定件数を増加させた。2004 年以前のその他の領域の主なものは抗HIV 薬が殆どで、その時々の感染症の歴史を示している。

完全承認への移行(Convert)の有無、ならびに臨床のベネフィットを確認できずに取り下げた事例を調査した。時系列でみると2010 年以前に承認された品目の多くは既に完全承認に移行している割合が高い一方、2020 年から2016 年に承認された品目では、確認試験結果がまだ得られていない事例が多い。2010 年以前に承認された品目のうち、確認試験が未だ終了しなのか詳細は不明であるが、放置されているとすれば承認後の管理上の問題も今後浮上する可能性がある。2020 年12月末までに移行が成功した件数は125 件、未移行が112 件も残されている。

承認年.別に完全承認への移行期間(月)を2010 年以降、現在までの傾向を見ると、2010 年の97 カ月(約8年)と長期であるが、2012 年以降は短縮傾向にあり、2019 年には20 カ月を切る程に短縮されてきている。

本制度が1992年から開始されてきたが、現在までに効能の承認取り下げ件数は18 件である。直近の取り下げは、上記のように抗PD-1/PD-L1 抗体薬のOPDIVOの小細胞肺癌、IMFINZIの尿路上皮癌(膀胱癌)、KEYTRUDA の小細胞肺癌であるが、それ以前の癌領域の取り下げは、2011年のAVASTIN のHER2 陰性乳癌である。取り下げまでの期間は最長160 カ月を超える例もある。本制度を推進してきた前CDER センター長Dr. Woodcock がFDA 長官代理に昇格したことで、Follow-up の評判の悪い本制度の見直しが予想される。

2021/02/22

加速承認されたIMFINZI の膀胱癌の効能、検証試験に失敗し自主取り下げ

2 月22 日、AstraZeneca は、前治療歴のある局所進行性または転移性膀胱癌の成人患者に対する、米国でのIMFINZI(durvalumab)の効能を自主的に取り下げると発表した。この決定は、FDA と協議して行われた。

1. 膀胱癌に対するオリジナル承認:2017 年5 月、IMFINZI は、前治療歴の有る膀胱を含む進行性固形腫瘍におけるIMFINZI の安全性と有効性を評価した第1/2 相1108 試験の有望な奏効率と奏効期間のデータに基づいて、FDA から加速承認プログラムの下でサロゲートエンドポイントにより承認された。

2. 確認試験による臨床上のベネフィットの証明:加速承認の承認条件として、確認試験を実施して臨床上のベネフィットを証明しなければならない。2020 年3 月、転移性膀胱癌に対する1 次療法の設定で実施した確認試験の第3 相DANUBE 試験において、主要評価項目の全生存期間(OS)の改善を、対照の化学療法に対して統計学的有意差を示すことに失敗したと発表した。臨床上のベネフィットの確認が承認条件であったことから、下記のFDA の企業向けガイダンスにも引用されているように取り下げは避けられない状況にあった、この取り下げは、米国外の効能に影響を与えることはなく、米国内外の他の承認されたIMFINZI の効能にも影響を与えない。

3. AstraZeneca のOncology 事業部門上級副社長Dave Fredrickson 氏のコメント:「免疫療法の科学は過去数年間に急速に進歩し、前例のない速さで患者に新しい選択肢をもたらした。前治療歴の有る転移性膀胱癌の取り下げは残念であるが、加速承認経路が設立された際にFDA が設定した原則を尊重し、患者に新しく革新的な選択肢をもたらすことにAstraZenecaは引き続き取り組んでいる。過去3 年間にIMFINZI は、当社が重視している治療分野である複数の肺癌の症状に対して重要な標準治療法となっている。」と述べている。