2014/10/15

ノバルティスが急性リンパ性白血病(ALL)に対する細胞療法CTL019の有効性をNEJM誌に発表

ノバルティスとペンシルバニア大学が共同開発中の「個別化T細胞療法」CTL019の再発・難治性(r/r、relapsed/refractory)急性リンパ性白血病(ALL)患者における有効性/ 安全性を評価した臨床試験の結果がNew England Journal of Medicine (NEJM) 誌に掲載された。CTL019は第3 世代の「キメラ抗原受容体(CAR)遺伝子」改変T 細胞療法で、FDAよりブレークスルー治療(BT)指定を受けている。

今回の発表では、r/r ALL 患者30例中27 例(90%)が完全寛解を達成し、この中にはAmgen が開発中の腫瘍免疫BiTE抗体ブリナツモマブ(blinatumomab)の不応患者2例と幹細胞移植経験者15例が含まれていた。

患者の自己T 細胞を採取し、CD-19 を標的とするCAR(CTL019)遺伝子をレンチウイルスベクターにより形質導入した後に体内に戻す「細胞治療」を行ったところ、6 ヵ月の無イベント生存率は67%(95%CI: 51-88%)、同全生存率は78%(95%CI:65-95%)を達成した。

全患者にサイトカイン放出症候群[軽度・中等度22 人(74%)、重度8 人(27%)]が発現したが、抗IL-6 受容体抗体アクテムラ(一般名:トシリズマブ)により治療が可能であった。

PAR コメント: 同じくALL治療薬として開発段階で先行しているアムジェンのBiTE抗体ブリナツモマブは、今月上旬(10月9日)にFDAがBLA申請を優先審査で受理し、PDUFA審査期限は2015年5月19日となった(➔アムジェン発表)。成人患者が中心の慢性骨髄性白血病(CML)に対してはノバルティスが開発したグリベック、タシグナを始め、スプリセル(BMS)、ボシュリフ(ファイザー)など有効な治療薬が開発され、治療成績が大きく向上した。しかし、小児が中心の急性リンパ性白血病(ALL)では大多数がフィラデルフィア染色体陰性(Ph-)患者であり、新たな画期的新薬の登場が待たれている。par library ➔ 新薬開発>血液がん