2015/02/02

ロシュの免疫チェッポイント阻害剤MPDL3280AをFDAが非小細胞肺がん治療薬としてBT指定

ロシュが開発中の免疫チェックポイント阻害剤MPDL3280A[抗programmed death-ligand 1(PD-L1)抗体]が、FDAから非小細胞肺癌(NSCLC)についてブレークスルー治療(BT)の指定を受けた。2014年5月には膀胱癌についてもBT指定を受けている。MPDL3280Aは、PD-L1腫瘍細胞と腫瘍浸潤免疫細胞上に発現しているPD-L1を標的としたモノクローナル抗体である。MPDL3280AがPD-L1を阻害することによりT細胞が活性化され、腫瘍細胞を効率的に検出し攻撃する能力を取り戻す。

今回のBT指定の対象は「白金錯体化合物の化学療法を施行中、または施行後に病勢が進行」した、PD-L1陽性のNSCLC患者である。EGFR遺伝子変異陽性またはALK陽性の場合は、適切な分子標的薬の治療を受けていることが条件となる。また、今回のBT指定は、MPDL3280Aの早期臨床試験の成績に基づいている。

[参考]
免疫チェックポイント阻害剤が抗がん剤開発の主流となってきた。世界で初めて昨年(2014年)7月に日本で承認された小野薬品/BMSのオプジーボ(Opdivo)、続いて米国FDAが9月に承認したMSD(米国メルク)のキートルーダ(Keytruda)はいずれもPD-1受容体に対する抗体医薬、またいずれも悪性黒色腫治療薬としての承認だった。ロシュのMPDL3280Aも免疫チェックポイントのPD-1を標的とするが抗受容体抗体ではなく、リガンドであるPD-L1を標的とする。同様の抗PD-L1抗体であるMEDI4736を開発するアストラゼネカもNSCLC治療薬として昨年5月にP3試験を開始している。