2016/03/22

国立がん研究センター、東京大学、第一三共による共同開発で悪性リンパ腫第1相試験開始

国立がん研究センターと東京大学、第一三共は、血液がんに対する新規分子標的薬としてエピジェネティックな ヒストンメチル化酵素EZH1 とEZH2 の二重阻害剤(DS-3201b)を共同開発し、成人T 細胞白血病リンパ腫(ATL)を含む悪性リンパ腫患者に対し、世界初の人に投与するfirst-in-human試験として第1 相試験を開始した。
国立がん研究センター研究所の造血器腫瘍研究分野 北林一生研究分野長のグループは、癌幹細胞の維持に必須な酵素としてEZH1/2を発見し、2 つの酵素をともに阻害することで、癌幹細胞を根絶、治療抵抗性を打破し、再発を抑制することを示唆する研究成果を得ている。これまでの非臨床試験で急性骨髄性白血病や非ホジキンリンパ腫に有効であることが示唆されている。
東京大学大学院新領域創成科学研究科の渡邉俊樹教授、山岸誠特任助教のグループが、ATL の発症と進展にEZH1/2 に依存的なエピゲノム異常があることを発見した。さらに、正常細胞に比べ、ATL 細胞はEZH1/2 によるエピゲノム変化に強く依存した細胞であるため、EZH1/2 の二重阻害は非常に高感度かつ特異的にATL 細胞の生存能を低下させることが判明した。また、ATL の原因となるヒトT 細胞白血病ウイルスI 型(HTLV-1)キャリアの血液細胞にこの阻害剤を処理することにより、感染細胞が選択的に除去されることを見出している。

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