2016/12/05

ノボノルディスクがGLP-1アナログの週1回投与製剤semaglutideの承認申請を欧米当局に提出

 ノボ ノルディスクは8,000人以上の成人2型糖尿病患者を登録し、GLP-1アナログ製剤semaglutide(セマグルチド)を経口抗糖尿病薬および基礎インスリンとの併用療法として評価した臨床試験「SUSTAIN」を根拠として申請した。SUSTAINプログラムは7本のフェーズ3a試験(SUSTAIN 1~5、SUSTAIN Japan単独投与、SUSTAIN Japan経口剤併用)、および心血管系アウトカム試験(SUSTAIN 6)で構成されている。
 対照群(DPP-4阻害剤シタグリプチンと1日1回インスリングラルギンの併用)に対して、セマグルチドの追加投与(週1回)は持続的に血糖値コントロールを改善することが証明された。さらに、心血管系アウトカム試験SUSTAIN 6は心血管系リスクと平均体重の低下を証明した。
 GLP-1はインスリン分泌を刺激し、血糖値に応じてグルカゴンの分泌を抑制し、食欲および摂食量を減らす。GLP-1アナログ製剤であるセマグルタイドはFlexTouch®(インスリンペン型注入器フレックスペン)と同じ技術のプレフィルド・シリンジ(薬剤充填済み注射器)で販売される予定。

(参考)
 ノボノルディスクはGLP-1アナログ製剤市場で最大となる27億ドル(2700億円、2015年)を売り上げるVictoza®(ビクトーザ、一般名リラグルチド)を販売している。ビクトーザは1日1回投与の皮下注射製剤である。競合するアストラゼネカのエキセナチド(一般名)製品はバイエッタ(Byetta)が1日2回)、ビデュリオン(Bydureon)が週1回の皮下注射、売上高は合計して9億ドル(900億円)足らずである。リリーが開発した週1回投与のGLP-1受容体アゴニスト製剤Trulicity®(一般名デュラグルチド、duraglutide)は2014年9月に承認され、2015年売上高は2.5億ドル(250億円)にとどまっている。
 年間72億ドル(7200億円、2015年)を売り上げる糖尿病領域の最大製品ランタス(インスリングラルギン製剤)を販売するサノフィは本年(2016年)7月にGLP-1アナログ製剤Adlyxin®(アドリキシン、一般名リキシセナタイド)のFDA承認を取得、続いて11月にはランタスとの合剤Soliqua®(ソリクア)の承認を取得した。いずれも1日1回投与である。ノボ・ノルディスクにとってGLP-1市場で週1回投与の製品を追加する戦略的な効果は限定的と思われる。

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