FDA が、株式非公開の私企業であるAprea Therapeutics(Aprea)が開発中のAPR-426(腫瘍抑制性タンパクp53 を標的にした新規抗癌剤)によるTP53 に変異を有する骨髄異形成症候群(MDS)に対する治療をFast Track に指定し、更に希少病薬にも指定した。p53 腫瘍抑制遺伝子は、ヒトの癌で最も高頻度に変異を生じている遺伝子で、全腫瘍の約50%に認められている。この変異は、抗癌剤に対する耐性や全生存率の低さに関連していることが多く、癌治療における重大なアンメット・メディカルニーズであると考えられる。
APR-246は、野生型p53 遺伝子の立体構造および機能を回復させることによって、変異型および不活性化されたp53 タンパク質を再活性化し、ヒト癌細胞においてプログラム細胞死を誘導することが示されている。APR-246 は、特にMDS、AML、および卵巣癌を含む多様な固形および血液腫瘍に対して前臨床
試験で抗腫瘍活性を示すことが確認されている。さらに、化学療法などの伝統的な抗癌剤、ならびにより新しい機序に基づく抗癌剤や癌免疫療法である免疫チェックポイント阻害剤の両者との併用による前臨床試験で、強い相乗効果が認められている。更に、この前臨床試験結果に加えて、APR-246 の第1/2 相臨床試験プログラムが終了し、血液腫瘍およびTP53 遺伝子変異陽性の固形腫瘍に対して、好ましい安全性プロファイル、生物活性および臨床効果が実証された。