2021/06/03

早期乳がんに対するPARP阻害薬による術後補助療法

アストラゼネカと共同開発パートナーMSD は、第3 相OlympiA 試験において、生殖細胞系BRCA 変異 (gBRCAm) 高リスクのHER2陰性早期乳癌患者の術後補助療法に関してプラセボと比較して侵襲性無病生存(iDFS)について、統計的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示したと発表した。この結果は、2021年米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表され(Abstract LBA#1)、NEJM 誌に掲載された。2020年には世界中で推定230 万人が乳癌と診断され、乳癌患者の約5% にBRCA 遺伝子変異が発見されている。
第3相OlympiA試験では、局所治療と標準的な術前化学療法または術後補助化学療法を完了した患者においてリムパーザ は浸潤性乳癌の再発、二次性癌、または死亡のリスクを42%減少させた(HR= 0.58;99.5%CI;0.41-0.82;p<0.0001)。3 年後、リムパーザで治療された患者の85.9% が生存しており、浸潤性乳癌や二次性癌を発症していないのに対して、プラセボ では77.1%が生存していた。
独立データ監視委員会(IDMC)は、2021年2月にOlympiA試験の早期一次解析と報告作成を勧告していたが、中間解析において主要評価項目のiDFS の優位性が確認されたことから、リムパーザがプラセボとの比較で持続可能で臨床的に適切な治療効果を示したと結論付けた。