「二重特異性」T 細胞誘導(Bispecific T-Cell Engager、BiTE)抗体として初めて、また腫瘍免疫療法として初めて単独投与でのFDA承認となった。B 細胞白血病やリンパ腫の細胞表面に発現するCD19抗原と同時に細胞傷害性T細胞のCD3にも結合する。T細胞とがん細胞を接着させてT細胞による細胞死誘導を促進する。
臨床試験はPh-、r/r ALL を発症している18 歳以上の患者を対象に多施設、単一アーム、オープンラベルで実施した。2サイクルの治療で、評価対象185 人中、41.6%の患者が完全寛解または血液学的部分回復(CR/CRh)を示す完全寛解を達成した(77/185, 95%CI; 34.4-49.1)。奏効例 は殆ど(81%(62/77))が1 サイクル目に確認された。
FDAはALL、 慢性リンパ性白血病(CLL)、ヘアリー細胞白血病、前リンパ球性白血病および低悪性度B 細胞リンパ腫に対して、EMA(欧州医薬品庁)は低悪性度B 細胞リンパ腫、ALL、CLL およびマントル細胞リンパ腫(MCL)で希少疾病治療薬に指定している。更に、再発または難治性の、小児ALL、フィラデルフィア陽性(Ph+)B 前駆細胞ALL、びまん性大 細胞型B 細胞リンパ腫(DLBCL)および非ホジキンリンパ腫(NHL)、ならびに微小残存病変陽性(MRD+)B 前駆細胞ALL の治 療薬としての可能性を検討中である。
参考
再発・難治性(r/r)B細胞急性リンパ芽球性白血病(ALL)の新薬開発に対するFDAの促進政策が加速している。11月24日にはJunoのCAR T細胞療法JCAR015に対するBT指定を発表した(➔ par news)。CAR T細胞療法では、ノバルティスのCTL0019に次いで2番目のBT指定となった。(➔ par library)